花火

真夜中に僕ら二人 帰路を歩く
煙を宙へと吐き出す
いつだって誤魔化している
タバコの煙を肺に満たして
カーテンから溢れる朝日の眩しさから
朝にこびりつくような夜の匂いから
逃げて 逃げて 逃げて

「ねえ、光ってない?」
「花火じゃん」
吐息のような風の中で
僕らは黙ったまま空を見上げた

「私たちは夏のトンネルの入り口におるんよ」
「へーへー」
僕は気の抜けた返事をしながら小石を蹴っ飛ばした
カランと音が響く。
僕らは夏のトンネルの入り口にいて
夏の終わりへと歩いているのかもしれない

花火

花火

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-05-28

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