自然

自然

その神の計らいを伺うためには、一体どうすればいいのですか。この世界で感じたことの無い心の浮遊性を感じ、ふわーっと天へと浮き上がっていった。
そして生命が生まれて死んでいく課程を私はずっと見ていました。やはりどんな生命も生まれて死ぬのです。
輪廻転生の現世に私が存在するとはどういうことなのでしょう。一人哲学者のように自問自答して山の頂上を目指し万物流転している。
そこに可憐な美しき少女のこの世界の全ての救済が存在していた。何もかもが安らぎに満ちて神のような対象に美しい視覚を体験した。その神の計らいに私は全てを許すのです。
少女は大地にそっと指を差し示す。すると植物に新たな生命が与えられました。そして何百何千という植物が地面から一斉に芽を出して、この世界の生命感覚の力強さをまざまざと知覚することになるの。
その植物本来に宿る原始の生命力が環っていき、大いなる本能はその生きようとする意志に、とてもつもない感謝を感じている。この世界には無限の生命力という偉大な力があるのをはっと知ったのです。
少女は誰も見たことのない優しい微笑をうっすらと浮かべました。そして宇宙に1つ1つ全く新しい心を創成していった。
また少女は大地を指さして、小さな小さな苗木に生命の力を与えました。するとほんの小さな苗木がもの凄い勢いでみるみると大きくなり、立派な大木に成長する森羅万象の御姿を見ました。
何という大成した木々の幹の雄大で逞しい肉体的な強さ。木々は無限に枝分かれして伸びていき、葉は幾兆にも重なり合い、大いなる万葉の時を迎えている。
木という生命体は天空を一斉に目指して、我の個を生かそうと、天へとありとあらゆる芸を凝らして、種としての生命を飛翔させていく。
何だかそれを見ている私の生命の感覚は生き生きと復活していった。
そして木々の枝がさらに大きく空の彼方へと向けて伸びていき、ぐんぐん成長していきます。
芽が生成するその水々しいまでの清らかな心の状態は、天からその成長を大いに見守られて、愛されているかのよう。
木々は創造する無の境地である大地に、しっかりと根を張り、地球上に生きる森羅万象の生命と共に、自然の中でみんな愛し合っている。
木々は活気に満ちて新緑の手を私に伸ばした。美しく可憐な動きをして、慈悲の御姿で青い母なる地球に、深い生命の祈りを捧げ帰依していく。
その木々の手が伸ばす動きは何だか生まれたばかりの本能がなせる、自然のみが知り得れた行為。
太古から流れる大河をさらさらと揺らめかし、精霊の霊気を脈々と体に強く漲らせて、自然の方程式の卓越さを地上界に証明するのです。
私は不可思議な宇宙の中で、少女の深い部分にあるスイッチを押したのです。何という不可思議な自然の摂理なのでしょう。
そして少女は合図を送ると、植物の合唱が地球全体へと響き渡り、生命を謳歌し始めました。
黄金色に満ちた植物が奏でる愛のシンフォニーは、何という生命の喜びの賛歌なのでしょう。
生命は長い時代を幾世代にも渡って乗り超えてきた、地球での年数が自然の調和を司り、神を味方にして守られ、立派に安心立命して成長する。
この宇宙定数を教える荘厳な感情の神に映る、たった一つの生命の生と死の生き様。生命は太古の初めから一本の筋が通っていたのです。
これから私達は一体どうなるのでしょうか。
植物が私達の未来を、万物の諸行に満ちる優雅な音楽で高らかに歌い啓示し始めた。それは天国の情景を目映くゆらゆらと漂流させて、朧気にふっと我を解脱していき無くなっていく。
さあ、人生肯定の時を迎えます。
植物はこれ程までに神に愛されて生きてきた事を知ったのです。そしてまた私もその植物から愛されている慈愛に満ちた安心感。
何て至上の愛に包まれて宇宙に浮かぶ銀河のような、和らいだ大きな安心を感じて見守られ、私達の大木は立派に育っていく。
宇宙にこのような光り輝く超越の生命ヒラエルギーを復活させた。
心に宿る仏性の本能を発露して、少女は天空をぱっと指さしました。
天空は北極星を中心として、時空をゆるやかに天昇していき次元が深められていく。深遠な意味を与えようと星々はゆっくりと厳かに回転していた。
星の輝きは目映さを増し、天体の運動はダイナミックに加速していく。時間の流れる感覚が優雅に変化していく例えようもない不可思議。まさに自然に宿る神の調和した時間が流れていく。
人間の時間から神の時間に変化したのです。
時間は大きくゆったりと流れて、神の心の御姿を教えた。私の感性は全くの別世界の宇宙の深遠な時間へ迎えられて、さーっと流星が大きな音を立てて流れて近づいてくる。
天体が流れる大きなエネルギーを体現して、その輝ける流れ星の生死のドラマを、私たちにそっと教えたのです。
その時少女と私は手を合わせて流れ星にお願い事をしました。
そして私達は目の前で物凄い神の明るい光を見つめている。
肉体は復活していく、全く新たな細胞に生まれ変わるのを感じた。生まれたばかりの選ばれた幼児の体へと、今まさに再生させたのです。
何という新しい感覚なのでしょうか。全くの新たな世界へ来ました。
今までの体が嘘のように、新しく生命が生まれたこの心身の中には、神の全知全能の力を感じます。
少女は流星を私達のすぐ上まで飛ばして、時間を遅めてゆっくりと流れさせた、流れ星の崇高な輝きに満ちていく限界的な情景。
私は涅槃を見ている。まさに偉大な流星の情報を知って、たった今この世界の何処かに救世主の降臨を感じた。ああ、数百億光年続いてきた宇宙の筋は通ったのです。
偉大な宇宙の力で身心は完全なる完成に到達したのです。そして私の内なる宇宙は完全なる解脱を起こしたのです。

自然

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  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-05-18

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