森の神社

森の神社

あの時、森を一人歩いていました。なぜ歩いていたのか、実はよく分からないのです。
深い夕暮れの静けさに寝むりについた生命界の幻影に、影響されうつつをつきながら、森の孤独の陰影を分け入っていきます。ここに何かあるのかしら。
自然の偉大なる森の木々に見守られながら、私の孤独に元灯が指すのをじっと待った。この森の深部に昔、神社があったのではないか。
確かにその神社は、深い森の心臓の奥にあったと記憶している。
心は脈打ち未知なる期待への序章にときめきを忘れていなかった。私は孤独であり何もかもがたった1人で依存するものはない。だからこの宇宙に輝く希望の明星に期待を懸けてみたい。
もし宇宙を創造した神を内に宿せれば、人間は爆発的な進化ができる。
さあ、汝よ、宇宙の誕生のビッグバンを起こしなさい。宇宙のビッグバンを起こすチャンスは1回だけなのです。
そして森の深奥の幽玄なる時空の、薄明かりの先に神社が見えてきた。そこで少女が1人静かにひっそりといるか、いないのかの存在感のなさで、じっとお祈りをしている。
そこにあなたはいるのですか。あなたはいないのですか。
私の想像を超越するあなたの持つ宇宙感はこの世にまだ語られなかった物語でした。
少女は私に宇宙誕生の物語をひそやかに教えなければいけないのですか。
それとも果たして少女は来たるべき神からの啓示の時を、厳かに待ち受けていたのでしょうか。
その少女の後姿に現世を脱した広大さを持ち、色とりどりの様々な美しき枝葉を教える。
少女のこの世を逸した解俗性に驚いたのです。
生命の素直さをこんなにも美しい枝葉を巡らせた聖なる大木へと立派に育てている。
宇宙に漂よう生命の二重螺旋の形状を思い巡らせ、神様が創造した少女の遺伝子構造に感嘆した。
それはあなただけにはわかったのです。しかしまだ私には決してわからなかった。
神殿での少女の啓示が天空から1つの光明となって現れ、主の出現への時が満ちるのを待ち望み、人生の解決は生命創成の時へと還っている。
天空は青白く虚ろに輝き、生命は満潮の極限の万物のエネルギーを凝縮する凄みのある宇宙規模の大気が漂う。
神社全体が光に照らされてほわっと暖まり、清らかな青い結界が張られた。
限りのない帰依に清められたこの地上での一番可憐な形状の少女の清楚さ。
少女は神から愛された可憐な形状を知っている、なんという人間の懐の深さなのか。
その容姿は何者にも変えがたい超次元の啓示に支え守られて、ここに偉大な生命の人格を創造した。
私はあのような人間になれるのか。
その時少女は両手を鳥のように大きく広げて羽ばたいた。
そして、神社の周りを神の守護のもとに少女の体は自転し初めた。か細く若く薄い声でお教を唱え、体が自転するごとに上空へと浮いていく。
いでたちも天女のはでやかな天衣へと変身していき、人生の嬉しき思いを一心に背負い、天空へと舞いを繰り広げ、少女はうるわしき天女になった。
天女は自転しながら可憐な舞いを繰り広げて神に奉納していく。その彫琢された形姿は神様への感謝に満ちて、天女はうきうきとほのかにしっとり若い才気を迸らせた。
「あなたは来ないのですか。あなたに来てもらいたいの。」
何か未知なる憧れに、天女の飛翔に、身も心も興奮していた。もうこの世で一人の孤独はいらなかった。
天女は私にそっと優しく手招きします。私は天女にそっと手を指し伸べました。そう、人生の全ての俗事から逃れるために、私を天国での幸せな事象へと連れてもらう為の唯一残された手段として。
そして私と天女は手を握りあった。
ああ、私を昇天させてください。
この世界から1つの解脱に身を任せたい。
私のとてつもない大きな期待は、この途方もない宇宙に身を委ねる安心感でした。
これでわかったのです。私は私の内なる宇宙に寄り添ったのだと。その蝶の羽ばたく夢に甘えながら。そう小さな天使のように。
神の啓示のもとに、天女と一緒に舞い踊り天国へ行くということ。
私を幸せな天国に行かせてくれました。
私より遠く彼方に人生を経験した、偉大なるお方の慈悲深き暖かさ、コスモスの安らかなる雲の浮遊性があった。
うっすらと月夜になった蓮の海が満潮になりました。
そう、あの故郷へ帰りましょう。生命の天国へ参りましょう。

森の神社

森の神社

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-05-18

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