*星空文庫

【掌編小説】遅延

トモマリ 作

 スーツを着た首のない人々が、朝の駅のホームにひしめき合っている。
 彼らの頭を運んでくるはずの列車が、今朝は少し遅れているのだ。
 時計を見る目も、アナウンスを聴く耳も、遅刻の言い訳を考える脳味噌もみんな列車の中だから、彼らは朝の光の中で立ち尽くすことしかできない。
 立ち食い蕎麦屋の親爺はこっそり煙草を呑みながら、久しぶりに訪れた朝の静寂を満喫している。

『【掌編小説】遅延』

『【掌編小説】遅延』 トモマリ 作

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2018-05-17
Copyrighted

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