一途なモテ不幸ヒーローの恋愛サクセス戦記（中編）

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０　遠い記憶

「もっと、ぎゅってして」

　彼女を抱きしめる。
　甘いキス。

「ん、きもちいい‥‥だーいすきっ」

「大好きだよ‥‥」

　オレは、こんな日々がずっと続くと信じていたんだ。
　それは遠い記憶。

　戻れたらいいのにな。

１　新天地

　オレの名はラサ。
　少しは名の知れた剣兵だ。
　故郷で勃発した戦乱では、相棒の魔兵エフィと共に、戦乱終結に一役買ったと自負している。
　だが、兵士であるオレ達にとって、平和というのは束の間の休息でしかなかった。
　やがて、平和に退屈するようになったオレは、隣国で戦争が起こったという噂を耳にした。

「ここで燻っていても仕方ない、一緒に隣国へ行かないか？」

　オレ達は新天地を求め、船で隣国へと渡った。

　港に着いたオレ達の目に飛び込んできたのは、義勇軍を募る告知だった。

**

・同盟であったベルグ帝国が裏切り、奇襲を受けた我らがアイザス王国を救うべく、義勇軍をここに募集する。

・愛国心溢れる者、腕に覚えのある傭兵、平和を願う若者達よ集え。

**

「渡りに船とは、この事だな」

「待遇も‥‥悪くはなさそうね」