チルドレンレコード
地下倉庫のような場所、俺とまっすーは物陰に潜み
スマホに繋がれた白いイヤホンを耳に当て少しニヤッとして合図した。
「まだ視えない?」
目を凝らして望む争奪戦が始まりを告げた。
あの日闇に飲まれる小山に手を伸ばすか躊躇した。
「今だ!取り戻せ!」
まっすーの声が響き渡り戦闘を始めた。
愛しくて、辛くて世界を嫌ったヒトー小山の酷く理不尽な構成を肯定してたらー
「未来は生み出せない!」
俺は素早く敵ー黒幕である陽炎に斬りかかった。
暮れる炎天さえ希望論だって、俺はー
「シゲ!ここは俺が足止めする、早く手越と合流しろ!」
「わかった!」
「それと、必ず小山をツレモドセ!」
俺はしっかりまっすーに頷き走り出した。
合流ポイントに着くと明るい金髪の青年がいた。
「ロックは解除したよ?」
「ありがとう」
「お先どうぞ?」
って舌をだす、余裕ぶった無邪気な目。
ドアに手をかけ内部に入るとまたロックがかかっていた。
「ほら出番だ」
手越はニヤリと笑い端末に触れた。
ふっと手越が倒れるとパネルにピンク色を宿した青年がロックを解除した。
「ほら、行きなよ」
「ありがとう、手越」
目を覚ましたじゃじゃ馬はもう止まらない。
突入してどれくらい時間がたったのだろう、夜が深くなっていた。
『オコサマ』なら燃えろ延長戦。
「逆境具合がクールだろ?」
次々と現れる陽炎を切り捨てる。
考えてアクションを起こすようじゃ遅い。
揺れる炎天すら希望論だって思い出し口に出す、不可思議な出会いと別れを。
ねぇねぇ突飛な世界のこと、小山、否、慶となら笑い飛ばせたんだ。
「合図が終わる」
カゲロウデイズに飲み込まれかけている小山を見つけ腕を引っ張った。
「慶!」
ぐっと自分の方に引き寄せ今回はなんとか助け出した。ほっとしてギュッと慶を抱きしめた。
「シゲ…?」
慶がうっすら目を開け俺を見つめ優しく頬を撫でた。
「慶!!」
安心して泣きそうになる俺を優しく抱きしめて俺にこういった。
「ただいま」
チルドレンレコード