綾波とちゅっちゅしてるだけ

アズールレーンの綾波とちゅっちゅしてるだけです。タイトルままです。見た目の描写は綾波改のつもりで書いてます。
えっちはしないですが色々と練習もかねて若干生々しい表現を使っているので、そういうのが苦手な方や清純なお付き合いをしたい方はお気を付けください
読むの早い人なら10分もあれば読めると思うので、気軽に読んでもらえると嬉しいです

×××

 彼はその日の仕事を終え、部屋のベッドに寝転がって読書に勤しんでいた。
 彼のいるベッドの横には事務机があり、その机上と棚には整理された資料がいくつか置かれているだけ。机の隣には本棚があり、その中には大きさごとに並べられて本が詰めこまれている。ベッドの足元には衣装箪笥が置かれ、開きっぱなしの押し入れには数着の上着が掛けられていた。
 部屋を出ると申し訳程度のキッチンと風呂とトイレがあり、あるのはそれだけのシンプルな部屋。簡素と置き換えても良い。

 実際彼がそこで行うのは休憩と睡眠程度で、それ以外のことは他の場所で十分に出来る。もとい、それ専用の部屋や施設があるため、自室などこれで十分だった。場合によっては部屋などなくても構わないほどだ。

 部屋の外からは楽しげにはしゃぐ声や走り回る音が聞こえてくる。壁越しに伝わるそれらの音は、どこかずっと遠くの出来事のようにすら聞こえる。賑やかな外に比べて、部屋の中は隔絶された世界のように落ち着いた雰囲気に満たされていた。
 そんな部屋に、控えめに扉をノックする音が響いた。彼が応答するよりも早く扉が開かれ、顔を覗かせたのは一人の少女。

「お疲れさまです、指揮官」

 輝く砂浜のような白い髪に、透き通る宝石のような赤い瞳。やや鋭めの眼はどこか眠たげに細められ、唇はひっそりと閉じられていて浮かぶ感情を読み取るのは少し難しい。背はあまり高くなく、全体的に線の細い印象だ。着ている服はセーラー服と着物を合体させた後に限界まで布地を減らしたようなもので、少々アレやコレの防御が心許ないのではと心配になってしまう。顔には淡々とした表情が張り付けられていて、彼を呼ぶ声にも抑揚は少ない。

「お疲れさま、綾波。どうかした?」

 少女――綾波は表情を動かさないまま近くまで寄ってくると、寝転がる指揮官を見下ろした。

「指揮官、このあとまだ予定はありますか?」
「いや、今日はもう出撃もないし遠征から帰ってくるのもまだ時間があるし、とりあえずメシまでは何もないよ。綾波は? 夕方の演習は?」
「みんな手が空いているようだったので、時間を早めて終わらせました」

 そっかそっかと呟いていると、ぎしりとベッドが加えられた重みに軋みをあげた。
 綾波が膝を乗せて身を乗りだし、文字通り目と鼻の先まで、その愛らしい顔を近づけていた。

「‥‥それじゃあ、夕食までの時間を綾波にくれますか?」

 綾波が言葉を発するのに合わせて吐息が肌に触れ、少しくすぐったい。彼は読んでいた本を閉じると、寝転がったまま綾波の顔を軽く引き寄せた。

「‥‥んっ」

 二人の距離がゼロになり、小さな吐息が漏れる。温かく湿った唇が触れ合い、熱と共に幸福の波のようなものが全身に広がってゆく。
 一度顔が離れるも、いまだ息がかかるほどの距離。見渡す限り海と空の青が広がる洋上のように、視界いっぱいに綾波の顔が広がっていた。視界の両端は流れ落ちた髪の毛で塞がれ、今にもその瞳に吸い込まれてしまいそうな気さえした。

 綾波はそのまま何度も唇を寄せては離し、湿った音が狭い部屋内に反響する。
 押し付け、吸い付き、舐め、挟み、綾波の唇の感触を余すことなく自分のそれで味わい尽くす。けれどその甘美な刺激は刻々と変化を遂げ、どれだけ求めても求め足りることはなく、何度口付けを交わしてもその探求心が衰えることはない。

 長く長く呼吸も忘れるほどの触れ合いの後、綾波の顔がようやく離された。
 視界に映る綾波は頬がほんのりと紅潮し、赤い瞳はとろんと垂れて、唇の端は溢れ出した唾液でぬらぬらと光を放つ。
 そこにあるのは、まさに女の顔だった。愛おしさにどくりと心臓が脈打ち、上気した頬に手を這わせる。

「‥‥今日はずいぶんと積極的だな」
「はい、最近はこんなに出来る時間もあまりなかったですから。それに、いつも指揮官からしてくれますから、たまには綾波からもしたいです」

 頬に触れた手に自分の手を重ね、もう一度、ちゅ、と音を立てて綾波はうっすらと笑みを浮かべた。
 綾波が身動いだのに合わせて、長い髪がさらりと揺れて首筋を撫でる。そちらに意識を取られている隙に、また唇を奪われてしまった。

 再び、激しい貪り合いが始まる。しかし今度は綾波が早々に顔の動きを止めると、押し付けるように身を沈めた。
 と、ぬるりと熱い塊に唇が割られたかと思うと、ソレはそのまま口内への侵入を果たした。意志を持つ生物のように口腔を這いまわるソレは形を確かめるかのように歯茎の裏まで口の中全てを辿り、最後に求めるように舌に絡み付いてくる。

 綾波は懸命に舌を動かし、んっ、んっ、と小さな呻きが口の端から漏れだしていた。
 綾波が上にいるせいで、重力に従って唾液が舌を伝い口の中へと流れ込む。粘膜が触れあい体液が溶け合い、どれが自分のものか分からなくなる。口内は綾波でいっぱいになり、脳内もいまや綾波で満たされてしまったようだ。じんわりと痺れのように多幸感が全身を駆け巡り、身体ごと溶け合ってしまうような錯覚を得る。

 やがて少し息苦しくなってきたところで、ようやく唇が離された。名残惜しむように最後まで舌先は触れあいを止めず、離ればなれになった唇の間にきらめく一筋の橋がかかった。
 ぷぁ、と唇を離した綾波としばらく見つめ合い、透明の橋が切れ落ち、口の端をとろりと濡らす。綾波はそれを見て、ぺろりと舐め上げてそれを拭った。けれど拭い取るどころか被害は広がるだけだったが、お互いそんなことには頓着していなかった。

 彼は綾波を抱き締めて体を起こすと、同じ目の高さで向かい合う。そうして体勢が落ち着くと、口腔に溜まった綾波の唾液を躊躇いなくごくりと喉の奥に流し込んだ。それを見て綾波は嬉しそうに微笑むと、唇の端に軽く口付けをした。
 綾波は彼の腰を跨いで座り込み、身体の前面と前面がぴったりと触れあう。綾波のほのかな膨らみが押し付けられる形となるが、本人はそれに気付いているのかいないのか。鼻先が触れあうほどの距離で幸せそうな笑みを浮かべているだけだ。

 そんな綾波を見つめながら、ふと疑問が沸き起こる。
 綾波の艶やかな唇は暖かくて柔らかくて、触れているだけでも心地いいけれど、自分のはどうなんだろう。
 左手で自分の唇に触れてみると、中途半端に柔らかくて生暖かく、微妙に乾燥しているなんともいえない感触を指先が捉えた。右手を伸ばして綾波の唇に触れると、先程まで唇で感じていたよりも鮮明にその感触が伝わってくる。感じられないのは、蕩けるような味わいだけだ。

「指揮官‥‥綾波の唇、気持ちいいですか?」

 半ば無意識だったその行動に、綾波は目元を緩めてそう尋ねてくる。唇に触れる手をそっと両手で包み込まれ、笑みを浮かべてふにふにと唇を弄ぶ。

「うん、気持ちいいよ。ずっと触ってたいくらい」
「いいですよ。指揮官なら触りたいところ全部、綾波の全部、触ってほしいです」

 嬉しい台詞を頂戴しながら少しだけ力を込めて、指先を綾波の口内に侵入させた。綾波は少しだけ驚いた顔をしつつも、目元を弛緩させて受け入れ、先程までのように舌を絡ませてくれる。

「綾波は、オレの唇気持ちいいの?」

 綾波の舌の感触を今度は指で堪能しながら、尋ねる口調はどうしても懐疑的になってしまう。綾波は不思議そうに目を丸くして、ちゅぽ、と口から指を引き抜いた。

「気持ちいい‥‥と思います。指揮官に触れていると、それだけで嬉しくて、幸せです‥‥」

 求める答えとは少しだけ違うような気もしたが、嫌でないというならそれだけで十分だ。彼は綾波をそっと抱き寄せながら、今度はこちらから唇を奪いにいった。
 数度綾波の桜色の唇と重ねては離し、断続的な水音を二人で奏でる。そして強く押し付けるようにすると、舌を押し出して綾波の唇を割った。舌を伸ばして、綾波の口腔を隅々まで味わうように上下左右と動き回る。それに追随するように綾波の舌も伸ばされ、ぴちゃぴちゃと淫らな音が鼓膜を刺激した。

 先程までは自分の口内、今は綾波の口内。している行為は同じなのに、場所が変わるだけで感じ方は大きく変わるものだ。舌先は綾波の粘膜の感触に取り囲まれ、吐息の温度を何より近く感じることが出来る。さっきまで綾波は同じものを感じていてくれただろうか。同じように喜んでくれていただろうか。

 そんな疑念はしかし、すぐに安らぎに代わった。なぜなら目を開けるとそこには、幸せそうに見つめ返してくれる綾波がいるから。
 淫靡な水音を響かせながら無言で見つめ合い、すぐに互いの体温を感じることに集中する作業に戻る。

 ふすふすと必死に鼻で呼吸する綾波の腰に左手を添え、右手はお尻に触れさせる。一瞬だけピクリと震えた綾波だったが、抵抗の気配は感じられない。むしろ腰に添えた手に触れ、ほんの少しだけそれを押し下げられた。

「‥‥‥‥ん」

 そこで唇を離すと、綾波の切なげな視線がぶつけられる。思わず微笑んで、肌に触れていた手を背中に回して自分より一回りは小さな体を抱き締めた。
 綾波もぺたぺたと背中を触りながら落ち着く位置を見つけて、再度自分より一回りは大きな体を抱き締めた。
 首筋に綾波の頬が触れ、いつもは少しひんやりとしているその肌が今はじんわりと熱を灯しているのを感じる。

「綾波の唇も舌も、全部美味しいよ。もう病みつきだね」
「‥‥自分じゃよく分からないです。でも、指揮官が喜んでくれてるなら、良かったです」

 そうしてしばらく抱き合っていると、不意に痛みには至らない程度の刺激が肩口にもたらされた。
 視線だけを落とすと、肩に顔を埋めた綾波に甘噛みされていた。軽く歯を当てたり唇で挟んだり、はむはむとくすぐったい刺激にわずかに身をよじる。
 この調子で続けられていれば多分、しばらくは残る痕になるだろう。それがマーキングのようなつもりでしているのであっても、甘んじて受け入れようと思った。左手の薬指だけで足りないというのなら、いくらでも所有権を主張してくれればいい。何があろうと自分は綾波だけのものだし、逆もまた同じなのだから。

 彼は何も言わず、されるがままになりながら綾波の頭を撫でた。綾波は無心に甘噛みを続けた。
 綾波がようやく口を離すと、じんわりと肩口が熱を帯びる。そこがどうなっているか確認することもないまま、頬を擦り寄せてから唇を寄せた。 

「‥‥綾波、好きだよ」
「はい、綾波もです。指揮官が、好きです」

 言葉を交わしながら、唇を重ねる。

「んっ‥‥指揮官、好き‥‥大好き‥‥」
「うん、愛してる、綾波‥‥」

 何度も何度も、愛の囁きと共に貪るような口付けを交わす。鼻先を擦り合わせながら、時に歯がぶつかることも厭わず、唇だけでなく口の端や頬や喉元から首筋にまで、飽くことなくキスの雨を降らせ続ける。

「綾波‥‥」
「指揮官‥‥」

 思い付く限りの愛の言葉を尽くすと、あとはただただ愛する人を呼び続けるだけ。二人にとってそれがなによりの愛であり、幸せだった。
 綾波の表情はいまやすっかり蕩けきり、瞳の焦点は怪しく、半開きの口の端からはどちらのものか涎の筋がアゴまで伸びている。

「指揮官、もっと‥‥。もっと、欲しいです‥‥」

 綾波は蕩けた表情のまま、ぐっと、腰を押し付けるようによりいっそう深く身を寄せた。

「綾波の身体、触ってください。指揮官の触りたいところ、全部‥‥」

 すり、と綾波が猫のように首元に顔を擦り合わせ、他に何も見えなくなるほどの距離で見つめてくる。
 こんなことされなくたって、もう綾波以外なにも見えていないのに。

「‥‥全部?」
「‥‥はい、全部です」

 額に軽くキスをして、抱きしめる手を脚に触れさせ、撫で上げるように動かした。
 綾波を見つめたまま指先で肌を撫で、少しずつ上へずらしてゆく。スカートの端に触れ、その中に潜り込み、足の付け根に近い部分まで指を伸ばす。

 綾波の瞳が揺れる。恥じらいと緊張、そして期待と興奮に。
 焦らすように手を止め、じっと綾波と見つめ合い――ちゅ、と音を立てて、手を引き抜いて頭を撫でた。乱れた髪を手櫛で軽く整えてやり、輪郭をなぞるように頬に手を添える。

「‥‥まだ晩飯もあるし、ここまでな」
「‥‥‥‥」

 綾波の唇がきゅっと引き結ばれ、わずかな不満の色が瞳をよぎる。
 可愛い。本当に可愛い。こっちだって、本当なら今すぐ押し倒して綾波の全部を求めたい。けれど今からこれ以上愛し合っていて夕食に乱れた姿で行くわけにもいかないし、遅れようものなら指揮官として示しがつかない。それこそ、艦隊の士気に関わる問題だ。
 綾波だってそれが分かっているのだろう。もぞりと腰を動かしながらも、何も言わずに視線を落とした。

「――だから、夜の予定も全部終わったら、もう一回来てくれるか?」
「‥‥‥‥!」

 綾波は眼をわずかに見開いてそこに喜色を滲ませると、ぎゅむっと抱き着いてぐりぐりと頭を押し付けてきた。
 さっきも言ったが、こっちだって今すぐ綾波が欲しくてたまらないんだ。途中やめにしたとして、中止にだなんて我慢できるはずがない。

「もちろんです。絶対来ます」
「その時は、綾波の全部、好きにさせてもらうから」

 綾波はわずかに頬を紅潮させて、うっすらと笑みを浮かべてこくりと頷いた。
 そしてもう一度、少し長めの口付けを交わす。

「それじゃ、汗かいちゃったし一回風呂入ろっか」
「はい。指揮官に、髪を洗ってほしいです」
「もちろん。こっちからお願いしたいくらいさ」

 先程までの艶は少しだけ鳴りを潜め、安らいだ笑みを向け合うと彼は綾波をひょいと抱き上げて、二人で入るには少しだけ手狭な浴室へと向かったのだった。

綾波とちゅっちゅしてるだけ

ちゅっちゅしたかったので書きました
個人的にはHシーンよりもキスシーンのほうが好きです。直接的な快楽があるわけじゃないのにキスだけでドキドキできるのって、やっぱ愛に溢れてないとできないよなーって感じがあるからいいよね。すき
目標としては直接的な場面を書かなくても、なんならキスだけで興奮してもらえるようなお話が書けるようになりたいです。今回のはまだちょっと淡々としてる気がするので、もうちょっとねっとりした文章が書きたいですね
また性格の違う他のキャラとも、ちょっとずつシチュエーションを変えて色んなちゅっちゅシーンを書いてみたいです。なのでその辺もふくめてゼヒゼヒ、ご感想など頂けるととても嬉しいです。どうぞよろしくお願いします。読了ありがとうございました

綾波とちゅっちゅしてるだけ

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2018-05-12

Derivative work
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