大仏

大仏

大仏の前に少女が一人お教を唱えていました。そこに大きな虹がうっすらと掛かりました。
少女の心はどのような心象風景を映しだしているのでしょうか。
少女はお教の響きと一緒に仏が生まれた時代へと遡り、お釈迦様の説法を今受けているのかもしれません。
広大深遠な宇宙に肉体と精神の完全なる解脱をして、嬉しさのあまり両手をあげて全身で喜びを露わす、この神経のときめきのワンダー。
そして仏の浮遊性を発して、内なる自らの音楽を奏でる生命への確認に、さらりとさわやかな美しい手つきをした観音様の揺らめきがあった。
山里には赤ん坊が泣く遠い昔の情景に、地球の丸さをはっと知ったのです。
人々との関係性の暖かさと愉快さに、仏様の恩謝を深く感じさせられる。地球は昼と夜と交互に訪れる生死のようなメカニズムを虹のささやかな親愛なる御心で照らした。そっとそっと腕を伸ばして少女のかよわい美しき手を差し出した、神妙なる生命が凝縮した賜物。
少女は仏様を寵愛していました。「何という暖かい心が内からそっと出てきたよ。そして、一人ぼっちで寝ころんで大空を眺めるの。」
大空を見つめた私と仏は不思議に広く伸びていき青天に祈りを捧げる、この構造的に均整なフォルムの飛翔に、何て円は美しいのと感嘆する。
私の弱さは全部大宇宙が受け止めてくれるこの感謝は超越していく爽快さに満ちていた。
「さあ、弱い考えと強い考え、あらゆる考えはしても全ていいのです。してはいけない考えは全く無いのです。」
Everything、Okなのと知った時に、神経のささいな事がほぐれていく、さわやかに解けて分解しふんわりと宇宙へ環っていく。
両方の必要性、地球と宇宙との関係性は精神のバランスを保ち調和し、美的な対話のシンメトリーのやわらかい感性のいでたちがあった。
「あなた、美しすぎるものを全て欲しいと期待してはいけません。」「お父さん、お母さんもっと私を美しく生んで下さったらなんてどうでもいいのです。」「人間は美しいものだけでは生まれてこない。」「生きることはあるがままに、なすがままに、そのままでいいのです。」
なんという広大な精神過程の般海羅針板を得たのでしょう。仏様の平等な思考は中道を実践し、ありふれた普通の人生で心より良かったと思える。
全宇宙は自然に調和する事への安定が好きだと思う。そこに立体的に整ったさわやかなフォルムの人間の生死のドラマがあった。
人間のリリシズムとは何かを教えたあなたの教育。慈悲に包まれた海岸を走る少女達の喜びへと還る、淡い過去の夢のまた夢。
私と精霊のダンスは浜辺に流れる美しき対位的なカノンの神聖なわだつみに、少女達のか細い笑いとなった。
飛天の美空の穢れていない、すこやかに心を成長させていく純朴な一心の教えを、海の潮は何も掟みもなくすでに知っている。
少女は変身して仏様になるのだとしたら、私は激しく歓喜を上げるのです。
「仏は私を試しているのです。」「今私は試されているのです。」「私を試してはなりません。」
遠かれし昔に両親は人間の美しさを追い求める仏になりなさいと教えた。まさに両親は仏法の偉大な教科書でした。
もし少女が今蓮に変身したのならば、私はその可憐な美しさに、そっと優しく柔らかに仏様の悲しみを知るのでしょう。
あなた、慈悲深く仏様を泣かせてはなりません。
少女は仏様の大きな懐に抱かれ、宇宙の超大な暖かさを知って、嬉しさのあまりに泣いて感動する。
そして、仏様から苦労の意味を清く爽やかに教えられた。実は苦労も美しいものであるという真実を解脱をしながら、青く深いやわらかな仏様の母胎へと、全くの無の事象に和らいだ時間に安心していく。
生命への修行をして一心にお教を唱えるお坊さん。時が解決していく四季が彩りを魅せる地軸の優雅な精神性。
人間の心が支配する仏教界の中で、仏様へと生まれ直した循環する生霊の一心なる佇まいがあった。
その心が美しい時の夜明けと共にさわやかな寺院へ、一つの光が仏様の啓示を行う、阿弥陀如来を、ぽんと心に放りこみました。
「ああ、私を本当に助けて下さいました。」と全身全霊で救われていく。
この仏様の啓示が存在して、確率の微妙なサイコロを振るお月様は、夜の森の葉をさらさらと流し、私の心のしこりを取り除こうとしている。
森のふくろうが私をじっと見てくれていた。
それは大いなる感謝へと辿り着く偉大な知性を持つ仏様による仏教絵巻であった。
「私を信じさせてください。」と仏様に懇願した。

仏堂に1つの暖かい灯がほんのりと光っています。夜の深い青空に自然の流れは還っていく沈静なる宿探し。
私は1つの灯火を見ていた。するとその灯火は様々な人生模様の創成する紀元10年の世界。その光は、仏様を映し、私を映し宇宙に見えない美しい世界の存在へと連れていきました。
そして、私は彼方の昔に野原で1人ぽつんと立っていました。そこに美しい一人のお坊さんが来て話し掛けました。
「生きることは、自分と向きあうことである。」とそして生命の全ての解脱を宣言され、そのように邂逅して変化する心の現象に、仏様の宇宙を知ったのです。
この感動に産声を上げてこの仏堂で再誕したのです。この世で生きる意味を初めて知ったのです。

大仏

大仏

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-05-07

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