王道ラブコメなんて信じない10

桜庭学園前駅に集合。それにしても金髪が遅い。
「やっほー」
「やっほーじゃないわ。遅い。コイツと2人だと何も会話できないから辛いんだよ」

遡ること30分前。
俺は急にやる気が無くなってバックレようかなと思ってたら不良からラインがきて
《今日来なかったら次会うのは葬式場かな?(о´ω`о)ぇへ♪♪》
という笑えない内容だったので渋々行くことにした。てか普段、あんまり顔文字を使わない人がこういう時に使うと怖いな。

という事があり早めに行ったら不良はいるが金髪がいない状況でずっとモンストしてたっていう少しだけ切ない時間を過ごした。いや、慣れてるけど何かね、よく分からないモヤモヤに苛まれてた。
「あ、樫村来たんだ。来なかったら葬式場で会えたのにな。残念だ」
金髪も俺と同じ手法で渋々来たのか。てか、何で不良はここまで真面目なんだ?見た目とのギャップとかギャッツビーとかいらないから。
「じゃ、じゃあ桜庭学園に向かおうか」
「そうだな」
俺らは桜庭学園前駅を出発した。

とりあえず桜庭学園の校門前に到着した。そして、気になったことを質問した。
「金髪と不良は桜庭学園に来たことはあるのか?」
「いや、一度も来たことないよ」
見た目とのギャップがあるな。学園の番長とかと戦う的な過去はないんだな。つまらない奴だな。
「うちは一度だけ来たことある」
この女はあれだな。番長の元カノとかの立ち位置が似合いそうだな。
「なるほど、生徒会室の場所は分かるか?」
「うん。案内するよ」
不良が先頭になり校内へと向かった、

「それにしてもさ、僕が言える立場じゃないけど髪染めてる人多いねー」
見渡す限り赤、青、黄、緑、紫、橙と虹の様な配色ばかりで見ていて愉快だ。
「そうだな。クレヨンみたいでちょっと滑稽だな」
「その例え…。星宮くんらしいね」
「間違ってないけどさ…。それはどうかと思う」
二人の反応が少し引き気味だ。凄く的を射てると思ったんだがな…。
「別にいいだろ絡まれる訳では無いんだし」
ちょうど階段の所に向かうあたりで世紀末救世主みたいな髪型した輩と目が合ってそこで思った。声聞こえてたなと。
「あ?誰がクレヨンだよ。調子乗ってんのか!?」
「フラグ回収早いなー」
絡まれた。金髪がケラケラと笑いながらそう言った。
「別にアンタの事を言ったわけじゃないし、いちいち短気な奴だな」
「外部の奴は一回締めないとな」
骨をバキバキと鳴らして威圧をしてきたので手をチョキの形にして
「おっと、それ以上すると僕も黙ってないよ?」
「チッ。俺の視界から消えろ」
相手の拳を避けてカウンターにチョキで目潰し
「め、目がっー!?」
「ついでに食らっておいて」
怯んだのに追い討ちをかけるように鳩尾に重めのグーパンチを食らわせて気絶させた。
「視界から俺らが消えてついでに寝れるし一石二鳥だな」
2人はまた引いていた。
「星宮くんが勝ったことに驚いたんだけど」
「や、やりすぎじゃない?」
予想外の反応だ。これくらい出来るのが当たり前だと思ってたのに…。意外だ。
「さ、そんな事よりも二人とも生徒会室に行くぞー」
『生徒会室』とネームプレートが釣り下がってるのが見えたので少し早足で向かった。いや、何か気まずい感じになったな。誰のせいだよ。俺のせいだ。

押し戸だったので思いっ切り開いてやった。
「ここが生徒会室?探偵部の部室と似てないか?」
2人には穏便にいけと言われたのでとりあえず率直な感想を言った。
「開口一番何を言ってるの?あなた。うちの生徒に危害を与えたよね?」
黒髪ストレートの女がため息をつきながらそう言った。
「あれは因果応報、自業自得。と言うか頼まれたからやっただけ」
消えてくれとか言うからやったんだ。俺は悪くない、悪いのはこの世界だ。
「目潰しを頼むような事はしないと思うけど?」
「「視界から消えてくれ」って言ったから消したんだよ。大丈夫だよ。致命傷じゃないし、気絶してるだけだから」
いい感じで俺のペースに持っていけそうだ。
「そういう問題じゃないんだよっ!外部の人間が何でここに来るんだよ」
銀髪にオールバックの男が怒鳴りながら近寄る。うるせぇな。頭悪そうだな。
「おぉー。金髪より電気がよく通りそうな色してるなー」
とりあえず煽ってやった。
「君?調子乗るのはやめた方がいいよ?怪我しても知らないよ?」
橙色の天パも近づく。それにしても、橙色って言うの俺だけなのか?大半の人間はオレンジって言うけどミカンみたいで紛らわしいからその呼び方は好かない。
「佑樹と千尋。騒ぐな」
黒髪にとてつもなく黒いオーラで俺を鋭く睨んでいる男が静かに注意する。…なんだ、この修飾過多なモノローグは。詳しく説明しておけばとりあえず煽りたい病が収まるからしただけだ。本当は煽りたくてたまらない。だけど、煽ったらマジで殺されそう。
「昴ー。何でそんな事言うんだよ楽しかったのにー」
赤髪に長い髪を後ろ縛りしている男が嫌な笑みを浮かべながら言う。
「颯も調子乗るな」
「ここに何か用があるの?」
コホンと咳払いをした黒髪ストレートの女が聞く、
「まぁ、そうですねー。調査ってことで来ました」
と金髪が答える。笑顔が引き攣っている。それに心なしか「お前は下がれ」と言わんばかりの視線を不良から感じる。まぁ、そんな事を気に止めずに
「アンタがこの学校の姫か?」
と包み隠さず言う。
「ええ、そうだけど?あと、調査なら軽く自己紹介くらいはするわよ。私は稲葉美琴」
姫が稲葉と。
「僕は苗座颯だよー」
赤髪と。
「俺は向井千尋」
銀髪と。
「僕は柄本佑樹だ」
橙色と。
「そこで星宮に殺意に満ちた目で睨んでるのが神谷昴だろ?てか、昴。その女が新しい姫なのか?」
ようやく不良が口を開いた。なるほど、だから不良はこの学校のことが詳しいのか。
「黙れ薫」
少し怒り気味で牽制した。
「え?昴が前話してた彼女ってあの子なの?何か意外だなー」
「不良の元カレの話はどっかで聞いたことがあったけどまさかコイツとはな…。不良は見た目も趣味も悪いんだな」
テルえもんの噂は信憑性が無くて詳しい事は聞いてなかったけど意外と当たるんだな。
「殴るぞ?その後にここから放り投げるぞ?」
あ、流れで言っていたのが聞こえてたか…、
「や、やめなよ。星宮くんは意外と喧嘩が強いんだしやめときなよ」
金髪がまぁまぁと言いながら止めに入る。
「はぁ?このもやしが?とりあえず腹が立つから一発殴らせろ!」
「あっ!」
銀髪が拳を飛ばしたので軽く受け止める。そして
「殴れないな。まだ抵抗するのか?ん?腕折れるよ?いいの?」
動かない腕をグイグイ曲げながら煽る。
「ちょ、あなた!やめなさいっ!」
稲葉が銀髪を羽交い締めにして止める。
「殴ろうとした人が悪い。つまり、俺は悪くない」
「酷い責任転嫁を見たよ」
煽ったらまた、殺意が満ちた。なので
「次は、本気出すよ?」
カンフーの様な構えをしながら更に煽る。
「要件だけ言え。怪我人が増えると困る」
黒オーラが舌打ちをして場を抑え、質問をした。
「そこの副会長をしばらく貸して下さい。もちろんちゃんと戦いますよ?」
「なぜ、戦う前提なのかな…」
「煽るのやめなよ…。ホントに怪我するよ」
ツッコミと注意を聞き流して構えたら
「俺を舐めてるな。こいよ」
「3日程度目を覚まさなくなるから、睡眠不足は解決するね。って事で特殊な術をかけるから」
と言って肩を小突いたら
「かはっ!」
膝から崩れ落ちた。奥義『スグニネール』は強い。まぁ、効果を忘れるくらい名前がダサいから名前をいうことはないけど…。
「ほ、ホントにやりやがった。す、昴っ!」
「昴くんっ!大丈夫!?」
「副会長を借りますねー」
カラフルな生徒会役員が黒オーラを心配している間に俺らは桜庭学園の校舎を出た。
うん、分かってる少しやりすぎたわ。

王道ラブコメなんて信じない10

王道ラブコメなんて信じない10

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-04-21

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