*星空文庫

好きという言葉、聞こえないふり。

木犀スイ 作

「せーんぱい!」
「何だ…君また来たの?」
「えへへ。先輩に会いたくて来ちゃいました」

二つ下の君は毎日ここに来る。
図書委員の僕は当番でカウンターの中で返却や貸出のやり取りがない限り本を読んで時間を潰す。
整理整頓はされているし他にやることがないのだ。
いつも花が咲いたようなぱあっとした明るい笑顔を僕に向ける君。
正直眩しすぎて直視ができない。
ついでにいうならカウンターに乗り出さずもっと離れてほしい。
その笑顔は目に毒だ。

「毎日来るけど友達いないの?」
「やだな、いますよ友達くらい」

彼女はいつも一人でここに来る。
失礼な話だがてっきり友達が居ないものだと思っていた。

「ここ来て楽しい?」
「楽しいですよ!本を読んでる先輩の顔が好きでずっと見てられますもん!」

間髪入れずに質問に答える。
顔、顔かあ…褒められているのだろうか。

「君は変わってるね」
「そうですか?ありがとうございます!」

不躾な僕の言葉を嫌な顔ひとつせず淡々と受け答えしていく。
もちろん笑顔は絶やさずに。
褒めてないのだが彼女に嫌味は通用しないのだろうか。

「ほら、もう時間だから帰りな」
「えー。もうちょっとだけ」
「だめ」

口を尖らせてブーブー言いつつ僕の邪魔にならないよう、カウンターから退いて近くにあった机の上に腰掛ける。
腰掛けてないで早くクラスに戻ればいいのに。

「鍵閉めるから忘れ物ないか確認してきて」
「はあい」

忘れ物がないのを確認してポケットから鍵を取り出しカチャリと差し込み鍵を閉める。
もう三年もここにいるのだ、この一連の作業はもう慣れた。
そしていつも彼女は僕と一緒にここを出る。
お決まりの台詞と共に。

「先輩」
「なに?」
「好きです!」

ほら、今日も変わらない笑顔を貼り付けてその言葉を口にする。

「…急がないと授業遅れるよ」
「そうですね、それじゃあ教室に戻ります!」

聞こえないふり。
知らないふり。
彼女もそれをわかった上で僕に好きだと告げる。
もしかしたら、冗談でからかっているだけかもしれない。
もしかしたら、僕の反応を見て楽しんでいるだけかもしれない。
それでも毎回、あの笑顔で、僕にこう言うのだ。
「先輩が好きです」と。

『好きという言葉、聞こえないふり。』

確かに恋だった様からお借りした「好きという言葉、聞こえないふりをする」でした。
先輩後輩の関係っていいですよね。
ひとつ学年が上がっても先輩には追いつけない。
いつまでも先輩後輩のまま。
焦れったい感じが好きです。

パッと浮かんだところを殴り書きならぬ殴り打ちしたのでいつも以上に荒く支離滅裂な部分があると思いますが、生暖かい目で読んでください。

『好きという言葉、聞こえないふり。』 木犀スイ 作

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2018-04-16
Copyrighted

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