僕のクラスにこんな噂が広まった。

「1組の山田君は動物虐待を繰り返している」

その噂は尾ひれをつけてすぐさま他のクラスへと拡散され、山田君はいじめられるようになった。
その後いじめはエスカレートし、1ヶ月後には山田君は学校に来なくなった。


ある日、僕のクラスにこんな噂が広まった。

「2組の坂本さんは援助交際をしている」

その噂は尾ひれをつけてすぐさま他のクラスへと拡散され、坂本さんはいじめられるようになった。
その後いじめはエスカレートし、1ヶ月後には学校に来なくなった。


またある日、僕のクラスにこんな噂が広まった。

「今までの噂を流したのは3組の長谷川君だ」

その噂は瞬く間に広まった。
尾ひれをつける暇など無いくらいに早く拡散された。
長谷川君は今まで以上のいじめを受け、山田君と坂本さんの親からも攻撃され、長谷川君の家までも迫害の対象となった。

その後長谷川君は半月もしないうちに学校に来なくなり、しばらくして自殺したと連絡があった。

最初の方こそみんな罪悪感に苛まれ中には今は亡き長谷川君に許しを乞う者もいたがそれもごく少数。
長谷川君が死んでから噂がぴたっと収まったことからやはり噂を流したのは長谷川君だとなり、
最早教師までもがいじめを肯定し罪の意識から逃れていった。

騒ぎが収まりだしたある放課後。
僕は教室でクラスメートの女の子のノートを拾った。
なんとなくそのノートを広げるとそこには1組から3組までの生徒の名簿が貼り付けられ、数名の生徒の名前が黒塗りされていた。
その横には数字が書いてあり、他の人名前の横にはチェックが入ってある。

僕は意味が分からなかったがしばらくぼうっと眺めていると意味が分かってしまい、怖くなりノートを放り出して
一目散に教室から逃げ帰った。

次の日、僕のクラスにこんな噂が広まった。

「1組の松田くんが同じクラスの木村さんに乱暴した」

その噂は尾ひれをつけてすぐさま他のクラスへと拡散され、松田くんはいじめられるようになった。
今までの3人以上にいじめられ、噂が広まってたったの1週間で松田くんは自殺を決意した。


放課後、松田くんはボロボロの制服を着て、屋上に続く階段を一段、また一段と登っていく。

古ぼけた扉を開けるとぎぃっと嫌な音。
そのまま迷わずまっすぐにフェンスへと向かい、よじ登り

飛び降りた。


グラウンドの上でおびただしい量の血を流し朦朧とした意識の中、1人の女生徒が松田くんに近づくのが分かった。

「次は7日かあ。案外早く壊れちゃった」

その言葉を聞きながら僕は、木村さんのノートなんて見なければよかったと後悔し意識を手放した。





ある日、君のクラスにこんな噂が広まった……。

噂って怖いですよね。
はじめまして、幸。です。

噂に翻弄されないように生きようとするあまり
逆に噂を気にしてしまう、そんな生き方をしている人を多く見かけますし、僕もその一人です。
噂は時には楽しく場を盛り上げる話題となります。
ですが大きな落とし穴が沢山空いているのです。

噂は集団社会にいる限り必ずまとわりついてくるものです。うまく噂と付き合い、時には軽くあしらいながら今日を生きていく必要がありますね。

読んでいただきありがとうございました。

噂にまつわるお話。 「ねえねえ、知ってる?」

  • 小説
  • 掌編
  • サスペンス
  • 青年向け
更新日
登録日
2018-04-13

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