【掌編小説】夢で逢えたら

六井 象

 旅行鞄が欲しい、ピアノが欲しい、猫が欲しい、キャットタワーが欲しい。
 彼女にそう言われるたびに僕は頭を切り開き、頭蓋骨の隙間に彼女がリクエストしたものを詰めていく。
 ドレスやピアスはまだよかったけど、ピアノやキャットタワーになるとさすがにヘビーだ。
 いつしかぼくの頭は電球のように膨らみ、歩くたびにあっちへこっちへふらふらと傾いてしまう。
 それでも、欲しがっていた物を手に入れるたびに、彼女が僕の脳味噌の一番奥深くから投げかけてくれる微笑みとウィンクが、僕をたまらなく魅了する。
 僕の頭の外側にいた時よりも、今の彼女の方が生き生きとしていて素敵だ。
 「生き生き」っていう言い方は変かもしれないけど。

【掌編小説】夢で逢えたら

【掌編小説】夢で逢えたら

  • 小説
  • 掌編
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