不思議な出会い

これは物語にはよくあるお話し。一人暮らしの青年の前に白装束で長髪の女の幽霊が現れたお話し。さて皆さんは今後の展開をどう予測するだろうか?このまま青年が呪い殺される?はたまたなんとか逃げ切る?もしかしたら美人のゴーストバスターや除霊師的な人が窓を破って登場するかもしれない。さて様々なシチュエーションが思いつく中恐らく大体の人はこの後の展開を予測できたのでは無いだろうか。そうよく見るよくある話。しかしそれは…

「あなたに一目惚れしました!付き合ってください!?」

この物語の主人公が普通ならばの話。



「いらっしゃいませ!何名様でしょうか?」
「すみません注文いいですか〜」
「かしこまりました少々お待ちください」


「はいご注文を伺います。」
「えーと
緑茶割りと瓶ビール。おしんこにモロキュウをください」
「瓶ビールはエビスとサッポロがございますがどちらになさりますか?」
「値段は一緒ですか?」
出たよ…そんなのメニュー見ればわかるだろ。こっちは忙しいんだよまじで
「いえ値段は違います。メニューの方に値段が書いてありますのでそちらをみてください」
「分かりました。…じゃあエビスで」
「かしこまりました。」
カランコロン
「いらっしゃいませ」
うわぁ〜
「何名でしょうか?」
「2人です」
「では座敷の方にお座りください」
「ヤベー俺靴脱げねぇわwwどんだけ酔ってんだよなwww」
まじでなんでそんなになってまで飲んでんだよとっとと家に帰って寝ろ!
「すみませーん」
「はーいご注文をお伺いいたします」
「兄ちゃんさ女紹介してくれよ」
ハイハイめんどくさい。というか俺の方こそ紹介してほしいわ…
「申し訳ありません。自分女子との交友関係あまり持ってないので」
「じゃああのカウンターの女でいいから。ね?」
「いやいやwそれは…」
「すみません店員さん。えーと…」
こうやって連れの人が助け舟を出してくれるとかなり助かるんだよなぁ(シミジミ)
「今日は4時で上がりだな」
「分かりました。」
4時になり注文も落ち着いたところで俺のバイトは終了する。その後の賄いは本当に最高だ。もう給料もよくて賄いも美味しいなんてどんなに忙しくてもまぁやめようとは思わないなぁ。
「お疲れ様でした〜」
大学一年の冬。道は雪が降り積もり道が滑りやすくとても危険な状況だ。東北でもなかなか目立たない県に今住んでいる。大学一人暮らし始めたら自分の力で生きていくんだ。そう思ってた頃も僕にはありました。今でもそうやって思ってるんだけどなかなか現実は厳しい。なかなかたまらない貯金。毎月くる請求書。奨学金がなければ成り立たない生活(学費込み)もう遊ぶためのお金もほとんど無いに等しい現状にたまに何故働いているんだろうと思うことがある。まぁそうやって色々病んでいく心に嫌気がさしながら夜雪道を帰っている。
「泣きたいのに泣けないのってどうしたらいいんだろ?マジで独りは寂しいな…ww」
もちろん家族も友達といるし本当の孤独とは全然違うがそれでも家に帰るのが憂鬱になる。
「もう幽霊でいいから話し相手が欲しい。なんてな」
なんて今まで独り言をブツブツ言っていたら家に着いた。そこの人ドン引きしないように。
「ただいま」
とりあえず言ってみる。返事が返ってこないのにご苦労なk
ガタッ!
「!?」
臨戦体勢をとる。ただものが落ちただけなのはわかってる。しかし一人暮らしだし?不安もあるし?決して中二病ではない。
バタン!ガタン!サッ!
とりあえず隠れられそうなところは一通り探した。まぁ誰もいなかった。
「まぁそうだよな。とりあえず一安心」
さてそれじゃ風呂に入ってネットでいい物探して男の嗜みでも行いますか。
「ねぇ」
後ろから声をかけられる。とっさに身構え振り向く。聞き間違いであって欲しかった。考えなくても直感でわかる
「だ、誰だ!」
聞かなくても見た目から、直感からわかる。幽霊だ。なんて変哲のない女の幽霊。
「出ていけ。ここから今すぐに」
さぁ考えろこの後の展開はなんだ?霊媒師がくるか?ここから物語が進行するのか?もしかして俺にすごい能力が
「あ、あいにくここは金払って住んでるもんでね」
非現実的な事考えるな!いやもう非現実的なんだけど。とにかくどうにかしないと死ぬ。とりあえず幽霊が苦手そうなのは
「はいそうですかとすんなり返事はできないなぁ」
「そう、なら本当はこうしたく無かったんだけど」
あ、そういえば…。もうこれを試すしかないな…
「消えて」
俺はすぐその場から逃げた。そこであるものを用意していた。電気はさっき探してた時につけていたので探すのに時間はかからなかった。
「逃げないですぐ楽になるから…」
あ、ドアは安定ですり抜けるのね。あまり期待はしてないけど
「残念ながらまだ死ぬには遊び足りてないんでね。これでも喰らえ」
俺は準備した塩水をかけた。結構入れたのでかなり
「しょっぱい!」
え?
「しょっぱい!何すんのよ!もう」
いやいや何?あ、もしかして塩効かないタイプのモビルスーツなのね。ツンダワ…
「もう許さない」
あぁ一思いに殺してくれ。できれば苦しみたくないな。あれ?
「可愛い…」
「え?」
あ、やべっ。いやまぁあれですよ濡れた髪の隙間から見えた顔がかなり好みだったのでちょっと出ちゃった。もう死ぬんだしこのまま思ったこと言っちゃえ!
「あなたに一目惚れしました!付き合ってください!」



ふぅ言いたいことは言った。俺は満足だ。まぁ未練がないかと言われればそうではないがとりあえず今できる事はしたしあとは苦しまないように逝くことを願うのみだね。
………
あれ?なんのアクションもないのは何故?もしかして消え、てないですよねぇ…わかってましたよはいそんな美味しい話あるわけないんだ。
「な、」
「な?」
「なんてことをいうんだ!お前は!生き残るためにお世辞でも言っておけばいいとでも思っていたのか!私はそんなちょろい幽霊じゃないぞ!命が惜しいならとっととでてけ!」
「いやいやあれはまるっきり本音ですよ。多分死ぬし言いたいこと言っておこうと思って」
「ば、バカか!私は幽霊だぞ!お前は本当にバカか!?」
「大事なことなので2回いいm」
「はぐらかすな!と、とにかくとっとと出てけ!でないと本当に殺すぞ!」
赤面されながらすごまれてもねぇ。俺も死にたくはないけどどうしても出て行きたくはないしなどうすっかなぁ…
「おい聞いているのか!」
あれ?まだ喋ってたの?赤面しながら?全く本当に
「可愛いな…」
「なっ、ま、またそんな事を言って!この女たらしが!」
うーんどうしようかなぁ…またなんか言ってるし、あ、そうだ!
「一緒に住むってのは」
「却下!」
デスヨネェ〜。
「まぁ聞けって。俺は基本的に帰ってきて寝れるところがあればいいし、部活やバイト、学校で家にいることも少ないんだからお前のものと言っても過言ではないとおもうよ?」
「それはこの半年ぐらい見てればそうかもしれないけど…」
「あと俺がいるのになんの不具合があるの?お互い干渉しないし、俺が変な気起こしてもお前幽霊だから触れられないし。何がそんなに不満なの?」「えっ、い、いや、それは…」
?なんだろうすごい恥ずかしそうなんだけどそんなになる理由なんてあったかな?あ!それか男性恐怖症とか?
「………よ…ハ…………ロ……」
小さくてよく聞こえない
「え?なんて?」
「お前がよくハダカでウロつくの見ちゃうからだって言ってんの!」
「あ、あぁ〜ナルホドォ」
「なんで?ねぇなんで?風呂上がりにハダカで出てくるの?上がって体拭いたらもう着ちゃえばいいじゃん!なんで着替え持ってかないの?それに…」
あーこの後の発言はちょっとR-18認定されかねないのでこれまでの話をまとめながら割愛しよう。たしかに俺は冬でもハダカでうろつく世間では裸族と呼ばれる者たちの一員となっている。はいそこ変態って言わない!大体想像してほしい。一人暮らしの彼女なし!この状態でハダカでウロついてなんのエクスタシィを感じられるか!どうせなら可愛い女の子、それも女王様級のドSを前にして目隠ししてウロつきたい!
じゃなくてそんな俺を見てこの純情処女幽霊は恥ずかしいとのことらしい。
「あとそのじ、自慰行為はやめてください!」
?この女はあれか?俺の夜の紳士の嗜みをやめろと?
「却下だ!」
「即答!?」
「お前半年も見てて分かると思うが俺は基本的に朝夜それぞれ3回ずつ嗜んでるんだよ!今更それを止めることはできん!」
「いや男だから仕方ないけど回数を減らしてくれれば」
「いやそこはお前が台所に行け!ここは譲らん!」


とまぁこんな感じで言い合いが続きかれこれ2時間。そろそろ寝させてくれと思いつつなんとか話はまとまりつつあった
「じゃあゼェゼェとりあえず2人で一緒に住むって事、でいいんだな…?」
「わかったわよゼェゼェ。もう反対する体力も無い…」
「ハァハァそれを言うなら気力じゃないの…。そもそも体ないんだし」
「もう変なこと言わずにとっとと寝なさい疲れたわ」
そういえばバイトから帰ってきたところだったっけ。やべ思い出したら眠気と疲れがドッと押し寄せてきた…
「そうするよおやすみ〜」
あ、風呂は…明日でいいか。もう布団という紳士の嗜みを共にする相棒に捕まってはもう出ようなんて考えられず今ある疑問などを明日にぶん投げることにした。




な、な、な、なんなんだ!この人間は!意味がわからない!は?は?なんなの?普通お化けが来たら恐怖に慄いて叫んで逃げるんじゃないの?私なんてお化けの映像を見ただけで逃げ出すのに!事もあろうことか告白なんて
「乙女心弄んでそんなに楽しいか!!!」
そこに寝てるついさっき私に告白したバカ男がとても気持ち良さげに寝ている。
まぁ顔つきは中の上はあるかなって感じで、身長が低く、童顔外見に関してはこんな感じで特に問題はない。
じゃあ内面に問題あるかって言うと、まぁ怒りっぽくはないし、嘘もつかない、基本明るい、趣味に関して寛容(こいつ自身自オタクでオタクはみな等しいというのが信条らしい)、交友関係は広いとは言えないが仲の良い友達がいるのでボッチでもない。ただ…寂しがり屋で甘えたがりそのくせ家族には強がり、友達にも弱音は吐くものの冗談混じりで言うため相手はただただ冷たくめんどくさそうに聞く。ちょっと嫌なことが続いたり疲れがピークになると独り言が増え内容はかなりマイナス方面のことばかり。中毒ではないにしてもパチスロもやってるなどなかなかに強烈なマイナス点がある(過去の電話や、宅飲み、私生活を得た私の独断と偏見だが)。まぁ実際そんな内面などは本当の一部の人間にならよく思われるだろうが。私が付き合わない理由とは関係ない。むしろ付き合えそうではあるかな。頑なに断るのは幽霊とか人間とか
「そんなの関係ない…」
そうそんな小さな事関係ないんだ…


あ、1つ加え忘れてた…マイナス点として、その、毎日やってるオn、嗜みを私のいないところでしてくれないところかな。あと回数が多い。




「ん、ん〜〜〜」
朝日の眩しい輝きで目を覚ます…訳でではなく、もちろん外は明るいが窓はカーテンがかけてあり、枕は窓と遠くにおいてあるので朝日で起きることはまずない。これが朝日かどうかも微妙なんだけど
「…今なんじ」
近くにあるiPhoneの画面を開く
「10時半か、まだ寝たい…」
ということで二度寝に入る。そういえばあれは夢だったのかな?妙にリアルな夢だな
「まぁ…あんな…の…夢だから…いいんだよ」
「誰があんなのだって?」
あ、もう夢の中なのかまたあの子が出てくれると嬉し
「おい起きろ!もう朝だぞ!」
「!?!?」
ゆ、夢じゃない!そんな事がよぎると俺は急いで体を起こし声の主を探す。
「ウワァァァァーーーーーーーーー‼︎‼︎」
いやあのこんなに騒いで本当に申し訳ありません隣の人。でも仕方ないじゃないですか!だって朝起きて、声がして、探したら、机の上に、生首がある。寝起きですよ!ね・お・き!そんなの気絶してもおかしくないじゃないですか!もうヤダ!おうちに帰る( ; ; )
「ハハハハハハ!間抜けな、声出、して情けな、いわねぇ!そんな、に驚かされ、たくなかっ、たらとっとと出て行って!」
よほどツボったのだろう今腹抱えて笑っている。空中で。ほんと悪趣味だなぁ
「はぁ…おはよう。朝からテンション高いね」
「もう昼だけどな!それよりどうなの?出てく決心ついた?」
「寝てる時にどうやって決心つけるんだよ。全く…とにかく出て行かないからな」
「はぁ?ふざけないで最初に住んでたのは私!なんで後から来た人が偉そうにしてんのよ!」
「それよりそっちはどうなの?」
「は?どうって何よ?」
「いや付き合ってくれるのかなぁって」
「は、ハァァァァ?いやいやそれなら昨日ちゃんと」
「断ってないよ?俺のこと罵ったけど断ってはないよね?」
「あ、あれ?そう、だっけ?」
そう、幽霊に告白するなんてバカだとは言われたが、お前のこと嫌いとかは言われてない。だからまだ返事を貰ってないのだ。まぁ、昨日のやつしっかり覚えとけば今返事する必要なく、結果も知ってる。だが目的はそこじゃない!
「い、いやだから幽霊と付き合うなんて常識的に考えておかしいじゃない?だから」
「じゃあ嫌いなんだ」
「いや嫌いって言えるほどお前のこと知ってないし、と、とにかく幽霊と人間が付き合うのはおかしいから付き合えない!」
キマシタワ!そうこれ!これですよ!顔を赤らめて恥ずかしさで顔を俯かせるその仕草!二次元美少女か好きな人にのみ許された行為!これが見たかったんです!まさか実在するとは…
「な、なにニヤニヤしてんのよ…」
「いやぁ眼福だなぁと思ってww」
「なに変なこと言ってんの!?とにかく付き合えないから‼︎」
「はいはいわかりましたよ。腹減ったな。朝飯にでもするか。」
俺は朝ごはんを作るために台所に立った。さて昨日の残り物でも温めるか。カレーだけど。
「お前はご飯食べるのか?」
「私はいらない食べれないから」
「りょ。あ、そうだ」
「何?」
「おはよう」
俺は言い忘れてた挨拶をかけてカレーを温め始めた。



「はぁぁぁぁぁぁぁ?なに?なんなの?ほんとまじなんの?あいつあのタイミングでのおはようとかふざけてんの?狙ってんの?え?そんなので女の子が落ちるなんて思ってたら大間違いだから!普通は落ちねぇから!」
小声で聞かれないように思いっきり叫んだ。小声で。
「いやいや寝起きちょっと言い合った後で何とも思ってないそれが日常だとでも言いたげな笑顔でのおはようで落ちる訳ないだろ!」
まるで自分に暗示を掛けるようにして
「うん最近好意を持たれることなかったし仕方ないよな!」
「何が仕方ないの?」
うひゃあぁぁァァ、となる前に押さえ込み振り返る。もう作り終わったのか…にしても、
「お前には関係ない。隠れて見てたけどやっぱり美味しそうなんだよな。」
「え、そう?なんか嬉しいな」
「盛り付け下手すぎてかなり減点されてるけどね」
「男の料理は豪快さと量と味よ!安い奴でどうやって美味しくするか!そこが俺の料理の根底だな!」
「まぁたまによく食べるなって思うものはあるけど」
「作ったものは残さない!盛ったものは残さない!食べ物は基本残さない!俺が小学校から掲げてるルールだからね!」
「ふーんまぁ最近の若者にしてはいい心がけじゃん」
「いや、その姿で言われるのはちょっと違和感しかない」
そりゃあそうなるな。だって私自体はあまり言いたくないが姿は20前後の見た目だからな。性格がこうなのは私が20歳前後の時がこんな感じだったからじゃないかな。よくわからないけど。
「彼女が作った料理失敗して消し炭になっても食べそうな物言いだな。」
「?残さず食べるの普通じゃないの?せっかく作ってくれたのに、残すなんてもったいないよ。彼女とかに限らずね。」
「 」
唖然とした。何当たり前な事聞いてるの?みたいな顔してそんなこと言う奴がいるなんて…
「ほんと羨ましいよ」
「なにが?」
「なんでもない!てか今日は何もないのかよ」
「うーん」
そう言ってケータイを開く
「バイトも特に入ってないし部活も休みだから何もすることないかな」
「じゃあどっか行け」
「えっ理不尽。」
「いやいやだって昨日なんて言った?ほとんど家にいないって言ったんだよ?そう言ったすぐにこれだよ!詐欺だ詐欺!」
「いやいやほとんどって言っただけだし絶対とは言ってないだろ!」
「はぁ?ふざけんじゃ…………」
この後また2、3時間言い合いをしていた



「寒っ!」
うんやっぱり東北の冬は身に染みるなぁ。もう2月だっていうのに関東の12月より寒いとかマジでいやになる。と、まぁなぜ外を歩いてるかというと、端的に言えばあの幽霊がうるさいからである。この一週間マジでうるさい!本読めば「中古屋行って本買ってきたら?」動画見てたら「見るだけじゃなく体験してきなよ」などなどとにかく追い出そうと必死だったのだ。てか俺が見てたのユーチューバーの心霊スポットに行ってみたなんだけど!え?体験?してるじゃん!今!現在進行形で!
「こたつでゆっくりしたかったのに…」
まぁちょうどご飯がなかったのでその買い出しに出かけてる最中というわけだ。にしても久しぶりに昼外に出たな。最近バイトで忙しくて夜しか行動してなかったしな…。そのくせ貯まらないとかマジでなんで働いてるんだろう。
あ、そうだ!お金無いんだしスロットでもやってくるか!勝てば2週間は生き残れるしね!勝てば…
「大丈夫まだ'勝てば'と仮説立ててるからまだ落ちぶれてない!」
などなどこれまた一人でボケツッコミみしていると
「それでさ〜」
「え、そうなの!?へぇ〜」
というとても楽しそうな会話が聞こえる。間違いないリア充だ。いつもなら
総員戦闘体制!!直ちに奴らに"リア充爆ぜろ"の念を送り込め‼︎
的なことを脳内でやるのだが…
「ほんと幸せそうにしてるな…」
数ヶ月前大学から付き合った奴から振られた。元々人を信じやすい性格の俺は、そいつに絶対の信頼を置いていた。ただ振られただけならよかった。俺と一緒にいるのが辛いとか好きじゃなくなったとかならまだ全然良かった。けど別れた理由が
「好きな人が出来た」
うん。まぁ、あれだ。何となくは気づいてたし、別れる一ヶ月は会えなかったし(会うの断られて)それも普通なら全然いいんだ。ラインのコメントを暇すぎて確認してた俺はもう気づいてる。
(距離をとって別れなかったのは振られた時の保険にかけられてたから。それで告白がうまくいったから俺を振った。あぁそうか。俺は浮気されてたのか…)
これで浮気というにはとても微妙すぎるラインではある。告白成功してから振るまで別に一週間とか一日とかかかったわけじゃない。大体一時間が良いところだろう。だけど付き合ってるのに告白して、それが成功した。一瞬でも二股が成立するならそれは浮気でじゃないか。という自論があるため俺は精神ダメージが大きかった。はじめての彼女だったし、本当に信じてた。そこから俺は人を好きになった事がなかった。たった数ヶ月で何言ってるんだって思うだろうけど、なんていうかこの人いいかも!?って感じになる人が全くいない状態。今までならありえない状態に俺はすごい戸惑っていた。
「まぁ過ぎたことだしな…」
多分いつか好きな人もでき…いやもういたか!いや人ではないか。まぁあれも本当に好きかわからないんだよな。なんていうかタイプではある。可愛いし、ウブだし、なんかこう守りたくなるんだよね!ただあの時は命がなくなる覚悟してたし、後悔なくって思った結果だからなんだけど、う〜ん。なんかよくわからん。これが小動物を愛でるのと何が違うのかっていうと全くわからない。あ、これが所謂吊橋効果ってやつか!
なんて考えながらみたくないものを見ないようにしながらスーパーについた。



「ひまだなぁ〜」
って違う違う違う違う違う違う違う!あいつがいなくて話し相手がいなくて寂しいとかそんなことは思ってない!私から追い出しておいたのにそんな事言ったらめっちゃ面倒な女じゃん‼︎それは絶対嫌だ!ちょっと気が抜けただけだしィ。久しぶりに喋って気が抜けただけだし!
…うん、返事が返って来ないのもいつもの事だし気にしない。
⦅残すなんてもったいないよ⦆
そう考える奴が多いのは知っていたけど自分の目の前に出てくるとちょっとびっくりする。
『なんだこの飯は‼︎豚の餌か‼︎』『どうしてお袋を真似ない!お袋の足元にも及んでないぞ‼︎』
「うっ」
嫌なことを思い出してしまった。ずっと忘れたい、心の奥に閉じ込めておきたい、思い出すだけで吐き気がする。そんな記憶。
「これは一種の呪いだな…」
一生治ることのない忘れることさえも許されないこの呪い。私の心を貪り、精神をズタボロにする癖、決して殺さない。いやもう死んでるから死なねぇとか言われそうだけど。この呪いは成仏どころか消滅だってさせてくれない。一生苦しみながらこの世とあの世の狭間を彷徨う。しかも地縛霊としてしか存在できない。だから…
「だからいっそのこと…」



「ただいま〜」
自転車をこぐ事2時間。ようやくすべてのスーパーを回りに回りかなり安い買い物をした。返事が返って来ないのに毎回挨拶するとかちょっとひくなww辺りはすっかり暗くなっており月明かりでようやくうっすらと見えるくらいしかない。
「あー。そういえばリモコン部屋だったな。探すのめんどい。」
とは言ったものの大体自分が置く場所なんて限られてるのですぐに見つかった。こんなに部屋汚いのによく見つかるなぁ。
「ゔぉっ!びっくりしたなぁ!もう!」
そこには部屋の隅に体育座りをしてるあいつがいた。
「お帰りなんて望んでないけど、部屋の隅で気配を消すな!びっくりするだろ!」
「あぁなんだ帰って来てたんだ。どっかでのたれ死んでればよかったのに。」
「悪いがやりたいことたくさんあるんだ。そう簡単には死ねないし死んだら未練がのこるからな。」
「未練ねぇ…」
あ、これは地雷踏み抜いちゃったかな?
「どうかした?」
「ううんなんでもないよ。お前には関係ない。」
いや悪気はないんだろうなぁ。悪気はないんだろうけど…
「は?そんな言い方ないだろ。」
だからこそ余計イラつく。
「何が?」
「関係ないとか、それなら気づいてみたいな雰囲気出すなよ。」
まぁ実際関係ない。ただの一目惚れ、おそらくそのうち忘れる一目惚れ。あれは本心だがきっと今だけのはず…
「はぁ?出してないんだけど。そっちこそ少し一緒にいただけで彼氏面とか自意識過剰もいいとこでしょ。」
「じゃあ隅っこの方で体育座りなんてしてんじゃねぇよ!そんなのカマってくださいって言ってるようなもんだろ!」
「どこにいようが私の勝手でしょ!大体たまたま隅っこに座ってたからってお前の常識押し付けて私が悪いみたいにいうな!」
はず…なのに…
「じゃあその涙の跡はどう説明すんだよ」
こいつが泣いてんのみるとスゲェ助けたくなる。




何を言ってるの?この男は。泣いてる?私が?
「泣いてなんk」
冷たい。自分の手に何かあたる。見てみると液体、おそらくこいつが言うように涙だ。
「なん…で?」
幽霊が泣くの?涙って出るの?その前に生前も泣いたことなんてなかったのに。
「…辛くなんのはスゲェわかるし、お前とは関係ないって言われるのもわかる。」
こいつといるといつも乱される。今まで秘めた記憶も、思いも、憧れも、劣等感も、全部全部乱される。
「でも俺の中でこんなに本音言えてケンカできる奴って大学で1人も居なかったんだ。」
本当にイライラする。このイライラも八つ当たりなのはわかってる。ちょっと言い方が強かったのもわかってる。その時素直に謝っておけばよかったのになぜか謝れない。
「お前といると辛いことが忘れられる。いつも俺の中にあった原因不明、解消方法不明な感情がお前といるときだけ忘れられるし、気づいたらその感情も薄れてきてる。」
本音が言える。それは私も同じだ。あんなに喧嘩したことも、笑ったことも、ムキになったことも、イライラしたこともない。本音が言えるくらい信じてる。何で?
「多分お前が俺の中で大学の奴らより大きい存在になってるってことだと思う。本当にお前に助けられてるありがとう」
初めて可愛いって言われたから?直接、いや初めて好きって言ってくれたから?顔がタイプだから?差別しないから?こいつがたまに見せる弱さに本能がくすぐられたから?
「だから今度はお前の助けになりたい。愚痴ならいくらでも聞く。怒鳴り散らかしたいなら俺が相手する。苦しめたいなら俺が苦しめられる。あ、死ぬのは無しね。とにかく俺を頼ってほしい。俺ならお前の全てを受け入れる。」
受け入れる…ねぇ。言われたことなかったな。過去のことなんて捨てたいくらいなのに私が受け入れられてないのに。
「言いすぎたのは悪いと思ってる。でもこのことは本当に関係ないから。少しほっといてほしい」
「え、いや待てy」
私は答えを待たず押入れに入った。出来れば外に行きたかったが地縛霊だから外には行けない。だから気配を消して静かに見つからないようにしてた。




ピピピピピピピピ!
「う…ーん」
iPhoneの目覚ましで目を覚ました。あたりを見回してみるかあいつの姿はない。気配はするからまだいるんだろうけど。まぁあいつがほっといてくれって言ったんだ。いつだって待つさ。昨日の喧嘩はなかなか激しかったな。
「今日の予定は…あぁ…バイトだ…」
しかも結構ギリギリだな。
そのあとはご飯食べて、色々支度してちょうどいい時間になる。
「さてと行くかな。」
玄関で靴を履き、いつものように
「行ってきまぁす。」
返事はないただの屍のようだ。




行ったか。
昨日からいろんなこと考えてた。過去のこと、今のこと、この呪いのこと、あいつにイライラする原因。それらを考えたが答えは何回考えても変わらない。本当にムカつく。あいつは、私をかき乱した挙句、泣かせたなんて。あいつは絶対許さない。これから毎日あいつを驚かせてやる。いつまでも飽きないくらいのドッキリを。今日はその第一歩だ。




「すみませんお先失礼いたします。お疲れ様でしたぁ」
今日はホテルのバイトだ。給料がよく、定時上がり、賄いがないこと以外は文句のないバイト。俺はそのバイトがと終わり今帰り道にいる。
「さーーーぶ!!!」
今日はいつも以上によく冷える。こんな日はコタツに入って暖かい鍋でも食べたいものだ。
「まぁ準備なんてしてないんだけどね」
マジで彼女欲しい。彼女欲しい!彼女欲しい!!!!
とまぁいつものように一人でいろんなことを思っていたら家に着いた。
あいつもう出てきたかな?もっと喋りたいことたくさんあるのに。早く出てきてくれるといいなぁ。
「ただいま〜」




「おかえり」

不思議な出会い

とりあえず恋愛ものを書きたかったので書きました。雑な終わり方、伏線無し、低文章力などなど稚拙極まれる作品を見ていただきありがとうございます。もしよろしければコメントでアドバイスなどいただければ幸いです。

不思議な出会い

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • 恋愛
  • 青年向け
更新日
登録日
2018-03-29

Public Domain
自由に複製、改変・翻案、配布することが出来ます。

Public Domain