夜のことば
街は死んでいるといえば
ありきたりだけれど
夜の街には言葉があるといえば
変わったように聞こえるだろう
スプレーらくがきは現代アート
深夜の暴走はシンセサイザー
ならば深夜覚醒した少女の
行き場のない瞳はどう名付けよう
照らされてしまえばそんなもの
大したことはないと
やけに訳知り顔した能面は
ブルーライトの世界からやってくる
隠喩が強すぎます
直喩は弱すぎます
少し黙ってちゃくれないか
夜はまだ長いのだから
夜の歩道橋の上で
まばらに歩く人並みを裂いて
斜めにゆく人とぶつかった時に
ボクの中にことばが生まれる
たとえすり抜けていったとしても
私のなかにはたしかに残ると
微笑んだ少女の瞳は
ゆっくりと閉ざされた
夜のことば
久しぶりの人混みと都会の夜に感じたこと