北国にて

山を下る風は冷たいのだと
女はいう
だから俺は南が良いのだと
男が笑った

良きにつけ悪しきにつけ
連なる壁を越える風が
そのまた昔にあっただけ

うたうものは少ないでしょう
女はいう
たしかにそのうたを聞いたぞ
男が笑った

良きにつけ悪しきにつけ
透明性を担保したガラス張りに
針が示す方角はないだろう

北国にて

旅行の感想

北国にて

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-03-23

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