はるのゆき

三月の春の日に白い花が舞う
ゆらゆら ふらふら ふわふわ
冷たい優しい花が舞う
ゆるゆる さらさら きらきら
天使の羽根に見えるような
寂しい誰かの涙のような
そんな三月のはるのゆきが
街を白く染めていく
私を白く染めていく
君を白く染めていく
全て白く染めていく
それはまるで
食べていく 食べ尽くしていく
雪は、全てを、喰らい尽くす
優しく 柔らかく 気付かれないうちに
密かな恋すら飲み込んで

私は「はる」の「ゆき」なのに
あなたは「ゆき」の「はる」じゃない
そうはならない
なってくれない
全て判っている癖に
私は「はる」を求めてる
あなたの愛を求めてる、のに

そして 雪は 春に解ける
春の日差しに 融けて 消えた

はるのゆき

はるのゆき

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-03-22

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted