【掌編小説】指とピストル

六井 象 作

 窓を開け放していたら、どこからか風船にくくりつけられて、女の部品が送られてきた。最初は手の指だけだったが、十本揃ってからは、へそや瞳や赤い頬も届いた。
 しかし肝心の組み立て方がわからない。かといってそこらに放っておくのも何なので、送られてきた部品は枕の下にためておくことにした。そのうち枕の下は女の部品でいっぱいになり、頭を乗せると、枕のあちこちから部品の先がはみ出すようになってしまった。
 ある晩、何気なく寝返りを打つと、ちょうど私の唇に、はみ出た女の人さし指が触れたので、戯れに軽く噛んでみると、耳の下でもぞもぞと何か動いた。取り出してみると、それは掌と親指で、人さし指に近づけてみると、肉同士はぎこちなくシーツの上を這い回り、やがてピストルの形になった。
 銃口は私に向けられている。指を噛んだことに抗議しているらしい。おかしくて笑ってしまった。

【掌編小説】指とピストル

【掌編小説】指とピストル

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2018-03-11

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