人生最期の言葉

「人生最期の言葉集」
何気なく立ち寄った古本屋で僕はこんなタイトルの本をみつけた。
本を開いてみると、多くの人の人生最期の言葉が1ページに一文ずつ記されていた。

「今までありがとう」

「本当に楽しかった」

「幸せだったよ」

「ごめんね」

「コーヒーが飲みたい」

「もっと……」

「タバコが吸いたいなあ」

「もう一度、逢おうな」

「やっと、死ねる……」

「まだ……」

「死にたくない!!!」

 そのほかにも多くの人の人生最期の言葉が記されていた。
 病院で死にゆく人の最期の言葉。
 自宅で家族に見守られながら死にゆく人の最期の言葉。
 人生に絶望し、ビルの屋上でつぶやいた最期の言葉。
 突然の事故に遭い車の中でうめいた最後の言葉。

 誰もが想像するであろうありきたりな言葉が多かったが、かぎかっこのついていないこの言葉を見たときに僕は
とめどなく涙が溢れてきてしまった。

”この世に生まれたかった……”

 母親の胎内でかき消された、声にならない最期の言葉だった。

人生最期の言葉

人生最期の言葉

人が人生最期の時を迎えた時、どんな言葉を発するか その中には声にならない悲しい言葉も存在した。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2011-02-25

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