無駄足

自分の心をショーケースに入れて周りの人が見える状態にあるのなら、きっとそれは最悪な展示物だ。棘があり、黒ずみ、穴が空いて薄汚い。そんな物を見せつけられた人はどんな気分にさせられるのだろうか、いや。絶対に顔をしかめる。
無駄にならない事しかやらないつもりだった。
自分なりに一生懸命やってきたつもりだったのだが、思ったよりそれは平凡だったようで、むしろそんなどうでもいいことを蹴落とすように、才能が邪魔をした。超えられるはずの壁が、見えない何かに邪魔をされて、どうしようもない。
SNSで、友人のアカウントの動向を見守る。
どうやら家族で出かけたらしい。車内での愚痴や、昼に食べたラーメンの話が呟かれていた。
明日は友達と映画を観に行くそうだ。随分と楽しみにしていたらしい期待の気持ちをさらけ出している。さて。見守る僕は必要あったろうか。
どうせ全部無駄になる。目を開けて、学校に行って、思い出せないけど、何かが解らないと友達と共感しあって、帰る。眠って起きたら、繰り返し。これを永遠続ける人生のどこが無駄じゃないんだ?テレビで活躍した人を見て、素直に喜べないでむしろ嫉妬が先に来る自分に腹が立つ。
何があった?どうしてこうなったんだろう。
無駄を作り出す。無駄の中で、無駄に生きる。



それでも、目を覚ます。

無駄足

全部無駄ってことは、つまりはもう何やったっておんなじってことでしょうか。なら、なにやったって、無駄になんかならない。

無駄足

  • 随筆・エッセイ
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-02-18

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