どうして

どうして

高く青い空に白い雲がぽっかり浮かぶ夏の日
地元のフルーツ味のソフトクリームが君の白い指先から流れ落ちていた

夏の空に負けないくらいのふたりの晴れ渡る初々しい笑顔は
今はもうこのステキな橋からも見えない

見上げれば筋の通るような白い雲は僕たちの失跡を表すかの如く
思い出と呼ぶのも咽び返されるくらいいろいろな足跡が悲しく見える

もう会えない?
それがどういうことなのかも理解出来ず
記憶の扉に鍵をかけてしまった

どうして?
そう聞かれ理由さえも説明出来ない
僕を君は責めることすらせず

最後の言葉を呟く

さよなら

はじめてひゞく
かなしいことば

君の決心を誰が理解しただろうか

またね、とか じゃあね?とか毎日交わしていたあいさつが

さよならとひびいたその瞬間に君は
笑顔の扉に鍵をかけた
どうして
君の決心を感じていたのに
どうして
君のかなしい顔に気づいていたのに
どうして
君の優しいこころを知っていたはずなのに

もう、そのカギをぼくは持っていない

どうして

どうして

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-02-15

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