*星空文庫

4 雨

デザート トリップ 作

変えられない自分がいるけど 砕け散れ

子供は自由に遊べばいい

それ相応に世界は笑ってくれたりもする




なんかね。例えば小石を池に投げるだとかさ、生きているって行動しているってそれだけで殺人と同じような暗さやすさまじさを内包しているように思うんだ。なぜなら辻褄が合えばそれだけ生き続いてゆくことや何か関係を保ち続けている事の仕組みは単純だから。




その町に一人のおじさんがいた。穏やかだが決して品があるとは言えない普段何をしているのかよく分からぬおじさんで、たまに雀荘に来たりして、店長と少し話して、蕎麦だけ食べて帰るようなおじさんであった。

その日もおじさんは暇そうにプラプラと雀荘に入り、ただで色んな種類の新聞をみたり、自由に食べていいお菓子をポッケに入れたり、何か他人からのおすそ分け的なものはないかと、素早くあたりに鋭い視線を送った。

真昼間であり、店長は昼寝をしていたし、お客さんはほとんどおらず、いてもこのおじさんの様な、普段何をしているのかよく分からぬ小汚い酔っぱらったつるっぱげのおじさんがソファーに転がっていたり、やはり普段何をしているのかよく分からぬ、白髪だらけの律儀なスポーツ刈りしたおじさんが恐ろしく眉間に皺を寄せて煙草を吸いながら週刊美女のお尻図鑑を見ていたりした。

空調は整っているが少し埃っぽい場所であった。


その主人公のおじさんは彼らの名前を知らないし、何をしているのかも知らなかったが、よくこの雀荘で会った。
(ああ、変わらないなあ)おじさんは退屈と安心の入り混じった煙草の煙をため息まじりに吐いた。


トイレの隣には大きなテレビが置いてある部屋があった。暖簾がかかってあり、ソファがあった。休憩をしたり雀卓が開くのを待ったりする部屋だった。おじさんは暇つぶしに何かスポーツでも見るか、とお猪口と酒をその辺の棚から勝手に取り出し、すたすた軽やかに歩き暖簾を上げてその部屋に入った。


この雀荘にもう一人客がいた。テレビの部屋に直立不動で立っていた。なぜかずっと手をぴらぴらさせて夢を見るような目は、テレビに焦点が合っておらず口は半開きでよだれが垂れていた。坊主頭で、とても汚い長袖からは、何とも言えない臭い匂いとこびりついた沢山の負が漏れ出て、部屋を汚し続けていた。


(なんじゃこいつ)

おじさんは思った。

『4 雨』

『4 雨』 デザート トリップ 作

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2018-02-14
Copyrighted

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