*星空文庫

からのつき

桐原 水刃 作

ちらかっていく時間に思い出す
朝と夜の重なった曼荼羅で
すり減った命は戻らないんだよ

あの朝の規則的な倦怠感に
あの夜の無秩序な閉塞感に
死んでしまいたいと願いながら
すり減らした色相は戻らないんだよ

されば緩みましょう
ただただ眠りましょう
壁に激突するまでのあいだに
ゆっくりと思い出して

からのつき照らす白昼夢は
昼ではない昼のようで
朝と夜の重なった曼荼羅のなか
あの朝の規則的な倦怠感と
あの夜の無秩序な閉塞感とを
引きずりながら歩いているんだよ

だから辞めましょう
そろそろ眠りましょう
壁に激突するまでのあいだを
できるだけゆっくりと

いろいろなことを思い出して
すり減った色相が翡翠の燐光となり燃えあがり
身に覚えのないことまでも思い出せたなら

『からのつき』

『からのつき』 桐原 水刃 作

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2018-02-12
Copyrighted

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