*星空文庫

【掌編小説】叔母さんと大きな手

トモコとマリコ 作

 久しぶりに叔母さんが家に来た。家族はあまりいい顔をしていなかった。この人のこと、私もよく知らない。
「あなたに似合うと思って」
 二人きりになったとき、叔母さんはそう言って、キャリーバッグから古いレコードプレーヤーを取り出した。
「何ですか?」
「あなたを頭から平たくすれば、きっと丸くなるでしょう?」
 叔母さんはその大きな掌を、私の頭のてっぺんにそっと置いた。
「そしたら似合うと思って」
 叔母さんが掌に力を込めたのがわかった。私は叔母さんの手を振り払い、
「これからデートなので」
 と言って立ち上がった。
「あらそうなの。ごめんなさい」
 叔母さんは大きな掌を軽く握り、白い腿の上に置いた。
 私はドアを開け廊下へ出ていく。
「頑張ってね」
 叔母さんが私にそう声をかけた。さきほどより大きくなった掌を私にひらひらと振りながら。

『【掌編小説】叔母さんと大きな手』

『【掌編小説】叔母さんと大きな手』 トモコとマリコ 作

  • 小説
  • 掌編
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2018-02-11
Copyrighted

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