*星空文庫

クイーン

織坂一 作

愛も殺意も紙一重

『クイーン』

子猫が啼く
処女の声に耳を傾ければ 子猫のそれと同じように訊こえるのだ

啼かないでおくれ 艶やかな声で
啼かないでおくれ 誘(いざな)う様な声で

私には訊こえてしまうのだ その裏の声が
処女の嘆きは何事にも耐えがたい
夜毎啼く姿は何よりも愛おしい

にゃあ、にゃあと官能に響くその声は非常に私を酔わす

啼かないでおくれ 寂しそうな声で
啼かないでおくれ 餌を下さいと

私には訊こえてしまうのだ 猫が啼く言葉が
感情の奔流は何事にも耐えがたい
夜毎泣く姿は何よりも愚かしい

にゃあ、にゃあと妖艶に誘うその声は非常に私を狂わす

嗚呼、啼くな、泣くな、鳴くな

耐えがたいと捲るその仮面の奥底は彼女である
処女であり夜毎啼いたかの猫はついに私にへと牙を向けるのだ

切ったカードなど意味はなく 無防備な首筋に殺した痕だけが残るのだ

啼きなさい 懇願を願うその声で
啼きなさい 爪を砥ぎたいと

処女も啼く猫も紙一重
切るカードはクイーンと相場が決まっていたのだ

【終】

『クイーン』

どうも、織坂一です。
最近長編小説の方が忙しいし、案だけが増殖していくので、それを断ち切りにきました。

私の文体でこんな洋風なものをぶち込んでいいのか不安ですが、煽りにもある通り「愛も殺意も紙一重」です。
なので何か心当たりのある方は処女と偽った猫さんには気をつけましょう。

18.2.11

『クイーン』 織坂一 作

カードを切るとしたら一体どこで切るか迷う。しかしその迷いと彷徨った処女と猫に気を付けなければ食われるぞ。

  • 自由詩
  • 掌編
  • ミステリー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2018-02-11
CC BY-NC-ND

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