ハンガ



切り絵みたいと記述され
隣の広告踊ってる。
欄の枠より薄くて困る
線の細さで保たれ頼る。





たった唇 紅くて生きてる。
早くしてと林檎齧りたい。
版画の背景 捲れる木肌。
摩擦と一緒に空気を吸う。





犬が噛まないお手々の膨らみ。
赤子の産毛は生えやしない。
着物のはだけは作者の意向。
匂いたてば色気なる癖。





彫れてない指のため
器の身体に真水が溜まる。
振れば右にチャプンという。
飲めば左の 目を瞑る。





最初のコップの口の中。
一体どんな感じで溢れる?
金魚の尾びれでくすぐったいですか。
ビー玉も転がるのですか。





時折横から息をかけても
膨らめない身が悲しむ。
浮けば割れもするのでしょう。
幅だけ増える二つ折りは嫌で嫌で。





深堀された目で訴える。
ガクセイさん,見ないで下さい。
貴方は唱えて円周率。
3.14だけでもいいから。





習ったばかりの絵空事。
ワルツというのを踊ります。
珈琲は美味しいですか。
ミルクは何故に白いのですか。





鼻がくっつく距離が最短。
足を踏んだら御免なさい。
背中に回す手の加減。
ばれんのよう。刷られるよう。





氷溶けない真水の雪に
夏の雲は間に合わない。
冷えてるは一緒なのに。
寒いとも言えるのに。





そうですか は2,3歩下がる。
微笑は得意のうちに入ります。
そのうち花火も上がりましょう。
シルエットラインになりましょう。





物静かに白黒は
以前のテレビと一緒だそう。
お早うございますを繰り返す,
版画の中の朝を迎えます。

ハンガ

ハンガ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2012-09-09

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