愛のシュプレヒコール

愛のシュプレヒコール


   






   







   





     「愛ってなんだろうね?」 と

     あたしは電話の向こうのイーディ・セジウィックに尋ねた。

     「愛は平積みに並べられたフランスのエロ本みたいなものよ」

     イーディは真夜中の電話でけらけらと笑った。



   







   





     「愛の詩が書きたいんです」 と

     あたしはピカソにメールを送った。

     「愛には踏んだり蹴ったりだったんだぞ!」

     ピカソはメールを「青の時代」の絵の添付ファイル付きで返信してきた。



   







   





     “I would like to live for love” 

     あたしはオノ・ヨーコに電報を打った。

     “Love is money”

     オノ・ヨーコは 一言に添えてジョン・レノン ミュージアムのDMを着払いで送ってきた。



   







   





     愛のシュプレヒコールが止み終えた。



   







   





     今夜もあたしは生きることに忙しい。

     爆発し続けるガソリンのように 人生が続く。

     闇はどんどん追いかけてくる。
     
     あたしは 黒いライダースーツ着た、

     ジャンクで いかがわしい、

     愛情原理主義の こけおどしパルチザン。

     ボーイフレンドの運転するプジョーが サイテーな終わりを突破する。

     主旋律がやけくそのようにダラダラ伸びきった  だるいラブソングなエレ・ポップ 

     いたるところで轢殺してゆく。



   







   





     あたし   一晩中 走っていよう。



   







   





   

愛のシュプレヒコール

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愛のシュプレヒコール

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-01-16

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