ひだまり

ああ幸せって、こんなもんだよなって思いつつ……。

冬の匂いがする街で、君と出会った

カーテンが引かれるように朝が部屋に届き、君は小さな寝息を立てて、僕の腕の中。
失くしたもの沢山あった。
枯れるまで泣いた日々。
誰も信じられなくて、意固地になって、傷ついて、目の前のものが何も見えなくなっていた僕に、一筋の光が差し込んだ。
君はいつも何でもないような顔をして、僕に笑いかけていてくれた。
数ある愛の言葉より、君がここに居て、そっと微笑む。
それだけで僕の凍てついた心は、ほんのり温かくなって、少しのイタミを抱えたまま、それでもこうして君を愛おしく思える。
真綿にくるまった、君との愛を、僕は守っていけるのかな?
守って行きたい。
人はどうして、間違ってばかりいるんだろう。
もどかしくて、切なくて、でもそれがないより愛おしい。
冬の匂いがする街、二人で肩を寄せ合い、歩く。
道の脇、揺れる小さな花。
ベンチには年老いた夫婦。
車のクラクションに、子供の笑い声。
何でもない景色も、君といるだけで、すべてがキラキラと輝いて見える。
僕は君の手を、ギュッと握りしめた。
君が微笑み返す。
今誓うよ。
ずっとこのままの気持ちで、齢をとっても、何があっても、君と一緒に、暖かな日だまりを作って行こう。
二人の似合の服で、同じ歩幅で、難しく考えずに、ただこの愛を信じて……。

ひだまり

フッとしたことが幸せに思える。それはお互い乗り越えてきたものがあるから。

ひだまり

不埒な毎日。嫌気がさすことばかりの連続。フッとした日常の中で見つけた幸せ。それは凍てつく心をも溶かしてしまう、陽だまりのようなあなたの笑顔だった。

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-01-16

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