*星空文庫

我慢比べのたたかい

桐原 水刃 作

あしたには核がふってくるから
ひとり銭湯で湯をあびながら
この世のおわりについて考えていた

のぼせてからっぽになった頭では
なにもうまいことを考えつけないからしあわせで

冷水を浴びてから
むし暑いサウナにはいってみると
そこには死の匂いがした

これまでの人生と一緒だ
極寒と猛暑の生き地獄の様相だ

つらかったなあ
くるしかったなあ
もうがんばらなくてもいいんだよなあ

むし暑さにあたまがおかしくなってくると

むかしの自分が横にいた
まだなにもしらずに虐げられていた頃の自分が
いまを懸命に堪え忍んでいる

しばらく二人で我慢比べをしていたが
やがていまの自分はサウナをあとにした

むかしの自分はつよかった
絶対に負けをみとめなかった
いつから自分を労わるようになったのか

あしたには核がふってくるけれど
それでも生きていくものはいるのかもしれない

『我慢比べのたたかい』

『我慢比べのたたかい』 桐原 水刃 作

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2018-01-13
Copyrighted

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