不思議な謎解きは冬の森

思い出の森を歩く後ろ姿はいつも二人だった。

冬の森にお爺ちゃんが連れて行ってくれた。

私は、生まれて初めておにぎりを作ってみた。

色々な型のおにぎり。

お爺ちゃんは、切り株に座りながら、おにぎりを食べると万遍の笑みを私に向けた。

いつも、大きな声で怒って笑わないお爺ちゃんが笑顔になってる。

ねえねえ、お爺ちゃん。何んで笑っているの?

私は、何も面白い事してないのにお爺ちゃんは笑顔だ。

お爺ちゃんは、大きな おにぎりを口いっぱい詰め込んでから腕を組み空を見上げだ。

空は、色々な木々が手を繋ぐように枝を伸ばしていて、こぼれ日がさしていた。

お爺ちゃんは手を両膝にどっしりおくと、語り出す。

なあ、彩。

お爺ちゃんが笑っているのは

何ででしょうか?

私は、色々と考えては答えた。

え~と、私の顔が面白いから?

お爺ちゃんは、どの答えも首を横に振ってしまう。

じゃあ、ヒントは?

私の言葉に、さらにシワを濃くして笑うお爺ちゃん。

お爺ちゃんは、また空を見上げて腕を組んでしまう。

しばらくすると、お爺ちゃんは私の目を見つめてから左手を前に出した。

ヒントは、左手の薬指と天国に行った、彩の婆ちゃん。

そして、この森と孫の彩だよ。

お爺ちゃんは、顔を少し赤くしながら瞳を人差し指の裏で拭った。

いつもパパやママに怒ってばかりの、お爺ちゃん。

今日はなんだか寂しそうで優しかった。

不思議な謎解きは冬の森

不思議な謎解きは冬の森

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2018-01-12

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