*星空文庫

求めていた俺

メズタッキン 作

第四部 「摩天楼の決戦編」

三十三話


ー前回のあらすじーーーーーーーーーーーー

冥王白石茜の手下である野人の大軍に囲まれてしまった桐生たち。圧倒的不利な状況に追い込まれたが、ちょっと待ってどーすんのやばくね?

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桐生、一ノ瀬、ルビアは野人の大軍に挟まれ、行動範囲が限られてしまった。


白石は遠くから彼らの戦いを高みの見物だ。

「ククク・・。私と並びたいのならせめてこれくらいの数は容易に処理して見せて欲しい所だねぇ。」



野人の一体が刀剣を突き出す。 それを桐生がひらりとかわして敵の体に掌を当てる。

野人の体が硬直する。

「ウッ、何だこれは?動けナイぞ!!」

だが一体を相手してる間にも背後からどんどん敵が迫る。

「桐生、後ろだ!!」

ボォオオオオオ!

桐生の背中を狙って襲いかかろうとした野人をルビアが得意の火焔撃で燃やし尽くす。

「サンキュールビア!これからも援護を頼む!」

「了解」

一方すぐ近くで。一ノ瀬は空間転移(ワープ)の能力をうまく駆使して次々と野人をなぎ倒していく。

「クソ、雑魚の癖に量だけは多いんだからな」
戦いながら桐生は言う。


敵の野人達の戦法はただ数で圧倒すると言うもの。お互いがお互いに依存しすぎているが故に一人一人の強さは並みの人間同等かそれ以下である。 だが・・・

「お前タチ能力者の弱点ハ、能力を使えバ使うほど体ニ負担ガかかるというコトダ!!」



「そうかい。じゃあ、これならどうだ?」

ポン。

桐生は右手で自らの体を軽く叩いた。

すると桐生の体が石のように硬直する。

「ナッ、何ダト!?」

「へへ、驚いたか!この能力は俺自身にもかける事が出来るんだぜ?」

「・・ナメやがっテ!そんな事をシテ何の得ニなるってんダ!」

人を侮る様な態度に激昂した野人二体が取り囲む様にして桐生に襲いかかる。

「かかったな。」

桐生は自身にかけていた能力を解除し、野人達をギリギリまで引きつけ、速攻しゃがみこんだ。

結果、一体の野人の刀剣が向かいのもう一体の心臓を貫く羽目になった。

ニ体の野人はそのまま死んだ。

「よっしゃ。」

ガッツポーズを取る桐生。

野人達の数は百を超える。しかし全員が同時に桐生たちに襲いかかる事はまず無理だ。同士討ちがオチだからである。 だから一度に一人を包囲出来るのはせいぜい数人程度に限られる。


「喜んでる暇はないよ。」

一ノ瀬は向かって来た野人を殴り飛ばし、気絶したその一体の首根っこを掴み、そのまま前方に投げ飛ばす。
投げ飛ばされた野人は近くにいた一体に激突し、さらにその衝撃で飛ばされた一体がまた別の一体に衝突する。 その様子は高速道路の玉突き事故を想起させる。

ズバババババッ

ルビアは空中から炎剣を召喚させ、円を描く様にひたすら振り回し、野人達を牽制する。


「クソ、キリがねぇ。」

だが桐生達とて人間である。百体以上もの野人を相手に体力が削がれない訳がない。


「そろそろ疲れて来たか。このまま死ねば楽になれるのに・・。」

白石が不敵な笑みを浮かべる。


「このままイケバ勝てル!いくゾ!」
「オオッ!!」

残りの野人達が一斉に三人を取り囲み攻撃に出た。

(しまった!俺たちの体力を奪う事が本当の狙いだったのか!)

大ピンチの桐生達だが、しぶとい事にまだ運は残っていた。


「ウキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャキャーーーーーーーーーーッ!!!!!!」

その時、闘技場全体に黒板を爪で引っ掻いた様な奇声が突然響いた。

「うるせーーーッ!」

桐生は以前にも同じ攻撃を受けた事があるので耳を塞いだ事で助かった。 一ノ瀬とルビアも何とか難を逃れた。
奇声の主は二回戦で桐生と戦い、反則負けになった『猿男』だった。彼の得意技は鼓膜を破るほどの強烈な奇声である。(皇楼祭二回戦参照)

「このまま退場ってのも気に食わないっキ!
せめて見せ場くらい設けやがれッキ!」

「猿男・・。お前よく再登場できたな。みんな忘れてる頃だぞお前なんて。」

「余計なお世話ッキ!! けど見ろッキ。オラの声のおかげで野人どもの半数は気絶だっキ。」

「おお、まあ助かったぜ。」


「おい見ろ!」

ルビアが顎で指した方向に桐生達は注目する。

「僕たちも加勢するよーーーーッ!!」

今まで観客席にいた敷島、サファイ、マナトが駆けつけて来た。

「お前ら!!」

さらに逆方向からは皇楼祭で桐生に敗れた対戦相手達が勢揃いでこちらに走り寄ってくる。

まずは一回戦の相手、『秋山清史』。

「Hey,you!この戦いが終わったらミーのけん玉を返してもらうぞ!」

そして三回戦の相手、『石ころ』。

「オレッち参上!!」

次に五回戦の相手、『魔獣先輩』。

「また出番来るなんて嬉しスギィ!!」

また次に六回戦の相手、『あばれない君』。

「昨日の敵は明日の友であーる。」

またまた次に七回戦の相手、『タイラのマチャカド』。

「助太刀いたす!」

これまた次に準々決勝の相手『遊馬雷奈』。

「ヒャッハー!人間以外をぶっ殺すのもまた一興ねーーッ♬」

そして最後に桐生の兄、『瓜生』。

「弟が困っているときは助けるのが兄の役目だ!!」


あと、おまけの肉体美追求会の減畑&森山。

「森山ーー。今までの特訓の成果を見せて見ろー。」

「クビにしたくせによく言いますよね。」

減畑会長は桐生に近づきこう言った。

「桐生。お前が指示を出せー。全てはお前に委ねる。」

「ああ、任せろ。 ていうかお前らまで来るとはなぁ。」


猿男の奇襲によってかなり削られた野人の残り数はもう十六体。対して桐生の元には一ノ瀬、ルビア、敷島、マナト、サファイ、秋山、猿男、石ころ、魔獣先輩、あばれない君、マチャカド、遊馬、瓜生、減畑、森山の十五人の仲間がいる。

こうして十六vs十六の構図が出来上がる。
予想外の状況に野人達は戸惑う。

「ど、どどどうスルんダ!?このままじゃ・・・」
「焦ルナ!!こっちだって同じ人数いるんダ!これでやっと互角になっただけダッ!」


「・・・互角じゃねーよ。」
桐生が言った。

「なんダトォ!?」

「俺たちはお前らとは決定的に違うんだよ。
一人一人の・・・、『質』がなぁああああああああ!!!!」

ドドドドドドドドドドドドドドドド!!

桐生含む十六人の"特殊部隊"が野人達に向かって一斉に闘技場を駆け抜ける。


「ヒ、怯ムナ!!俺たちモいくゾ!!」

十六体の野人の残党も向かい来る十六人に対抗する。しかし、焦りと緊張からか野人の軍はうまく統制が取れていない。 桐生達に勝機がやって来た。

「いくぞ、みんな!!」



そして遂に両軍は衝突した。



桐生は極力能力を使うのを避けて自慢の空手技で野人をボコボコにする。

「僕に勝てると思っているのかい?」

一ノ瀬はワープで野人の背後に回り、そのまま頚椎をチョップ。

「メガローリングクラッシャー!だもー。」

敷島は自身の体型をうまく利用したボディプレスで野人を下敷きに。

「できればこういう使い方はしたくはなかった・・・・」

栗山マナトは五年間愛用していたラプトップの鋭い角を野人の頭部に打ち付ける。

「邪水刃ッッ!!」

サファイは超水圧水鉄砲攻撃で野人の肺を潰す。

「Fuck you!!!」

秋山は予備のけん玉デバイスを取り出し、紐を野人の首に巻きつけ絞殺。

「ウッキィィィィィィ!!」

猿男は野人の顔面を爪で引っ掻きまくる。


「くらえ!!」

弾丸のようなスピードをつけて野人の腹を貫く石ころ。

「武ッ血ッ波!!」

あちこちに排泄物を撒き散らす魔獣先輩。

「いきますよ!」

"アバレーヌ"で野人の動きを封じるあばれない君。

「フンヌッッ!」

桐生との戦いでは見せなかった槍撃で野人を串刺しにするマチャカド。

「いっくよー????」

遊馬雷奈は百万ボルトの雷撃で野人を焼き尽くす。

「これでどうだ!!」

瓜生は鋼のトンファーで野人をぶっ飛ばす。


「いくぜ!!」

ルビアは炎剣で野人を斬首。


「肉体美追求会の恐ろしさ見せちゃる!」

森山のキャメルクラッチで一体の野人が気絶。


そして野人は残り一体となった。

「ア・・アア・・、うわァァァァァァ!!」

最後の一体は恐怖のあまり逃亡をはかるが、

「減畑会長、逃すな!」
「あいよ」

減畑会長は毒針を二十本程度投げつける。
二十本全てが野人に命中した。

「肉体美追求会特製の毒針だ。あたれば全身の細胞が一分足らずで懐死する。」


かくして野人軍団は全滅した。


「残りは白石、お前だけだ!覚悟しろ!!」


「ククッ、いいだろう認めてやる。かかって来るが良い!十六人がかりでな!!」



「いくぞみんな!ついてこい!」



桐生はもう1人じゃない。背中を預ける仲間がいる。
だからもう怖くない。

人間1人で頑張ってもいつか限界が訪れる。
ならば互いに足りない分を補い合えばいいのだ。それが、"仲間"という物だから。

十六人の『最強の軍団』が今、世界を守るため『破壊の根源』に挑む。
しかしこの時はまだ、白石茜の恐るべき潜在能力を前にねじ伏せられるという事実を彼らは知らなかった。



To be continued..

『求めていた俺』

『求めていた俺』 メズタッキン 作

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2018-01-12
Copyrighted

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