*星空文庫

求めていた「俺」

たいくん 作

第3部 「龍神の地底湖編」 No.2

「なあ・・釣りって好きか?」

「へ?」

学校の帰り道、珍しく無口の栗山マナトが突然話題を持ち出してきた。彼の肉声を聞いたのは1ヶ月ぶりかもしれない。基本マナトは大人しいが、時々ぶっ飛んだ発言をすることがある。この前なんか「 ゴキブリって萌えるよね」 だ。

「釣りねえ。昔よく兄貴と川でやってたな。」

桐生は手を頭の後ろに組み、懐かしそうに言う。

「サファイも行くかもー?」

「ああ当然さ!」

「どこで釣んだよ。」

マナトに尋ねる桐生。

「秘境の釣りスポット・・『龍畳湖』。」

この時3人の反応がハモった。

「「「龍畳湖ォォォ!?」」」

この場の中でその湖を知らぬ者はいなかった。 湖といっても地底湖だ。

伝説上その地底湖には龍神様が住んでいると言う根も葉もない噂があった。マナトは『秘境の釣りスポット』とかほざいていたが、龍神様なんぞの住処で釣りなんかをする勇気ある者がいないだけなのでは?

「ん?龍畳湖?」

これは桐生が4ヶ月前に四刹団の1人のルビアから話を聞いたときのことだ。その時のやつの言葉を思い出す。


ーーー
「龍神の湖に・・行け。そこに住む龍神様が・・きっと教えてくれるはずだ・・。真実を知ったとき・・お前は思う存分絶望できるだろう・・。」

桐生にボコされて満身創痍のルビアが提供した情報だ。

どうやら龍神様は古くからこの地に住み着いており、ここ一万年の間で地球で今まで起きた事、今現在この事象の中で起きている事、これから未来で起こる事について詳しく知っていると言う。


ーーー

(もしかしたら白石があの後どうなったか龍神様なら何か手掛かりを持ってるかもしれない)

桐生はそう思い、釣りのことをすっかり忘れて、

「行こう!!行こう!龍畳湖絶対行こう!」

「あ、ああ。」

突然のハイテンションにやや引き気味の一同。



そんなこんなで地底湖に行くことになった。

ここから電車で3時間のところに鍾乳洞がある。
その入り口がケツの穴に酷似しているため、「巳斗肛門」という名前がつけられた。クッソ汚いにもほどがある。桐生たちはその入り口の前にいた。入り口からは冷気が漂っている。その奥に例の地底湖があるっぽい。

「暗いもー怖いもー疲れたもおおおおん」

「ちょっと黙ってろ敷島」

何か訳わからんことを言ってる敷島はほっといて、桐生たちは鍾乳洞の中を進むことにした。鍾乳洞の中に入るのは人生初の経験だ。

「ちょっと待てもー!置いてくなもー!」

先に行ってしまおうとする3人を後から追いかける敷島。


10分ぐらい歩いただろうか。中は静かでジメジメしてるのかと思ったら比較的乾燥してたので喉が渇いてきた。

「なあサファイ、水くれよ」

「ダメ!これは僕の・・」

「あーはいはい。」

マナトはパンフレットの地図と現在地を照らし合わせながら歩く。そして口をひらく。

「噂によると昔ここに有名な探検家がやってきて・・、何かの罠に引っかかってしまい今も行方不明らしい・・。」

全員に緊張が走る。

「マジかよ。そーゆーことは先に言えよなー。全く驚かせやがって。」

サファイが壁に寄りかかった瞬間、忍者屋敷の隠し扉みたいに岩の壁が開き、そのまま暗闇の中に消えてしまった。どうやら深い穴があったらしい。

「サファイーーーーーーッ!!」

「ああ、サファイ。お前の死は無駄にはしないよ。なーーーーむーーーーーーー。」

「勝手に殺すなー!!」

穴の下からサファイのツッコミが聞こえた。

どうやら生きてたらしい。

「多分穴の下は安全だもー!オイラたちも行くもー!」

こうして残りの3人も穴の中に飛び込んだ。

ポヨーン。

穴は思ったより浅かった。サファイが落ちた先には巨大なキノコがあり、それがクッションがわりになった。

「ふう、びっくりしたー。・・て、これは!」

誰よりも先にサファイが見た景色。それは
ブルーの透き通った地底海だった。 周りの岩の隙間からチョロチョロと水が流れる音が微かに聞こえた。 絶景にサファイは暫く見惚れる。

後から桐生たちも落ちてきた。

「ふう、びっくりしたー。・・て、これは!」

3人全員がサファイと全く同じコメントだった。

「それさっき僕が言ったよ。」

「なあ、それよりも・・、」

「どうしたもー?桐生。」


「釣り竿持ってきた?」

ここにきて桐生はマナトに質問をした。


「あ・・・・忘れた!!」

「ええええええ!!??」


「だめだこりゃ。」


その時。

ザッパーン!!!

と、湖の底から巨大なドラゴンが唐突に顔を出した。これが噂の龍神様である。

大量の水しぶきが4人に降り注ぐ。

「ワシの睡眠を邪魔したのはお主らかーーーーーーッ!!」

どうやら龍神様はご立腹のようだ。

「はい?」

「全く。龍がぐっすり眠っている時にギャーギャーギャーギャー・・これだからゆとりは・・。」

「これが龍神様?ちょっとイメージと違うもー。」

「ん?なんか言ったか?」

龍神は敷島を鋭い目でギロリと睨む。

「ひいっ!?」

「まあいい。お主たち、ここにわざわざやってきたのには何か理由があるんだろ?言ってみよ。」

「え?えーと、その・・」

巨大なドラゴンの威圧感に流石に完敗な桐生たちであった。

あと、だらだらと垂れる大量のよだれが全部桐生の顔にかかっていた。

「くっさ・・。」


To be continued..

『求めていた「俺」』

『求めていた「俺」』 たいくん 作

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2018-01-12
Copyrighted

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