*星空文庫

求めていた俺

メズタッキン 作

第ニ部 「四色の聖者編」

十三話


「この野郎!」
一瞬油断を見せたルビアに向かって桐生は走る。

「おお怖い怖い。いきなり殴りかかってくるなんて。怪我しちゃうじゃないか。」

ルビアは片足を十センチほど上げ、そのまま軽く地面をトンッと音を鳴らし叩くと、桐生の足元付近の地面から直径五メートル程の火柱が間欠泉の如くゴォッと湧き上がった。

「っっと、危ねえ。当たったら人たまりもないぜって、やばっ」

何とか躱したと思ったが、制服のきれ端に火柱がちょこっと掠ったおかげで火の粉が燃え移ってしまった。 普通の炎と違い、燃焼速度がやたら早い。

「頼む、サファイ!水で消してくれ。」

「はいよっ。」

サファイが自ら生成した水を桐生の制服に吹きかける。 そして火は簡単に消えた。

「ふう、危機一髪だったぜ。お前、結構便利な能力持ってんな」

「あ、あんまり褒めないでくれるかな」

「ほう、今の攻撃を避けたとな。」

ルビアは相変わらず余裕そうに顎をさすっている。

「さあどうする?あと一度でも火柱に当たれば、お前は塵と化すだろう。まあ、自滅してくれるぶんにはこっちとしても手間が省けるんだがな。」

すると何やらサファイがいい案でも思いついたようだ。

「桐生、耳を貸してくれ」

「あ、ああ。」

(ルビアの奴は今油断してる。こちらにとっては寧ろチャンスだ。桐生は何も考えずルビアに真っ直ぐ突っ込んで。僕は所々から現れる火柱を処理するから。)

(分かった。)

「おーい!お喋りは済んだか?そろそろ2人まとめて丸焼きのお時間だけどいいか?」

「よし、行くぞ!」

桐生は作戦通り、ルビアの懐まで一直線に走り出す。

「フン、馬鹿め。無策の特攻か。なら・・」

ルビアは後ろ手に炎剣を握りしめる。桐生が来たところを心臓を貫くつもりだ。

「やあっ!!」

バシュッバシュッ

サファイは舞い上がる複数個の火柱を水鉄砲で処理して行く。 あっという間に桐生とルビアの距離が縮まって行く。

「今だ、死ね!!」

ルビアが炎剣を前に牙突を繰り出そうとした瞬間、

「おいらの存在を忘れるなもーーっ!!」

桐生に気をとられていたせいでルビアは背後から敵が迫っていたことに気付くことができなかったのだ。

「なんだと!?」

バキボキベキバキボキ

敷島の図太い腕はルビアの炎剣を持つ手首を両手で掴みとり、雑巾を絞るようにして骨を粉砕する。

「うぐぉぉおおおお!!」

ルビアは炎剣を落とし、骨が砕けた手首をもう片方の手でおさえて悶絶する。

サファイと桐生はその隙を逃すわけはなかった。 サファイはまるで巨大な手の形をした水の塊を桐生の背中を強く押すように当てて、勢いを増した桐生の拳がルビアの顔面に突き刺さった。

「ブゴォッ!?」

ドッ ガッ ズザザザザッ!

思いの外ルビアは吹っとんだ。

「・・あぅ・・・。」

ルビアは渦巻きのような目で気絶している。

「信頼できる仲間がいるっていいもんだぞ。」

まるで父親が息子に教えるように桐生はルビアに言った。


十分後。ルビアが意識を取り戻したらしく、やがて目をゆっくり開ける。

桐生は仰向けになって倒れているルビアの胸ぐらを掴み、改めて問う。

「何故俺を狙った?そして俺が「諸悪の根源」ってどういう意味だ?」

ボロボロにかすれた声でルビアは答える。

「答えは・・全て・・『龍神の湖』に・・・あ・・る。ここに・・・行け・・」



その後、桐生は自らに宿る『もう一つの力』の存在とその恐ろしい真実を知ることになる。

第二部 「四色の聖者編」 完

『求めていた俺』

『求めていた俺』 メズタッキン 作

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2018-01-12
Copyrighted

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