碧きユメに! 39ラスト回

ひとかけらの幸 39最終回

数日後、アンディはウードルフをスコットに引き会わせた。二人は、握手をし話をし、云いたいことを、互いに云い、聴き云い、交わす。
そこには、やがて親しさを増していく空気も湧く。

いくら立派な話内容でも肌合いが悪ければその内容が成就することはない。
ここでも、企業は人なり!の金言通り、人が資産とはよく云ったものだ。
いや、同情社会と云う方が合っている。

アンディのスコットに対するプレゼンスは成功した。提案はほぼ全部といっていいくらい受け入れられた。
同時にアンディは新たに興した寝台車の会社に出資することを、この時すでに、目論んでいた。

世界ナンバーワンな億万長者へと上り詰める確かな一歩を、巨大な手掛かりを、目の前にする。


空に黒い雲が覆う。天地が真っ暗に。
今しがたまでの青空を突き破るように現れ、バサバサと雨音激しく、屋根を、窓を、殴る。
故郷スコットランドで慣れ親しんだ特異な北風、通り雨、それがよぎる。

親しみある手紙を手にしてる手が、背が、目が、ガタガタ。
背中ぐちゃぐちゃ事件以来の親友となったアビーからの手紙。これをくちゃくちゃに握り、その手から絨毯に、力なく、落ちる手紙。

さっそく事の真偽を確かめるため、探偵事務所を、有能なスタッフらを、現地ソフィー周辺の許へと派遣。

イングランド人の父はすでに戦死、スコットランド人母は貧窮生活。
ソフィーはこの窮状打開か、囲われの女の身に・・・・・・・。

道理で手紙の文面量が減って来ていたわけだ、気付かなかった、と自分を責めるアンディ。

これから二年後、アビーからの返信も途絶えがちとなり、ついに疎遠となる。
既に囲い相手の老人は他界し、元の独身に戻ってるはずだが・・・・・いったいどうなってるんだろう?

これより以前、直接ソフィーに対し、援助資金を申し入れてあった。
が、これに返信されることもなかった。

得られはずの愛が生涯消えることはなった。自分を終生責めることはあっても・・・・・・。

彼が結婚したのは、母マギーが亡くなった後、50歳を越えてからでした。

母が亡くなった後、ショックで、母の名前を何年も口にできなかったそうです。
同時にまた、長くソフィーの名も何年も口には出来なったと聞きます。

また故郷スコットランドに旅行した折り、借金で家に抵当権をつけられて困っていた老女の借金を代わりに払ってあげたこともありました。

理由は、
亡くなった母に似ている。
もうひとつ、貧乏なるがゆえに大きく人生を狂わされたソフィーの不幸のことが頭を過って。

彼の収入は当時の国家予算5億ドル程にも迫る。彼はその巨万の富を次々と寄付していきます。
自分が貧乏でまともな教育を受けられなかったことから、全米各地に図書館を寄付しました。
それは、海外にもおよび、合計で3,000近い数の図書館を寄付しました。

またピッツバーグには彼の寄付でカーネギー工科大学が作られました。
またまた、各地の教会にもパイプオルガンを寄付しました。
その教会の数は、約7,000に及びます。

さらに、故郷のスコットランドには1000万ドルの寄付金で、経済的に進学が困難でも優秀な生徒が大学に進学できるようにと奨学金制度を作りました。
自分が貧乏で大学への進学をあきらめざるを得なかったからです。

そしてカーネギーは、アンディであるが、存命中にその巨万の富の約9割を寄付し、遺産も遺言ですべてが寄付に回されました。
カーネギーの財産は今はありません。が、カーネギー研究所、カーネギーホール、カーネギー博物館、カーネギー図書館、カーネギー奨学基金、カーネギーメロン大学など、名前はいろいろ残っています。

Honour and profit lie not in one sack.
利益は得た、が、愛に生きるとした彼の名誉を同時に得ることは叶わなかった。


碧い空、いつか見た二人の空、オーイ!呼ぶ声がする、ソフィーだ、今度こそ天国で結ばれよ!
もし神が存在するなら、もう一度この碧き地で、君とぼく。
ぼくらの世界で、ぼくらだけの。
愛の證、碧き大地で。

酷―い!

アルテノミナさん、久し!

ホントはね、ソフィーちゃんは、ずっとずっと、あなたを、あなたが迎えに来てくれることを、待ってたんだよ、でも・・・・・身近な人の温かさには勝てな・・・・・。

なんだそりゃ!
云ってること、もういい!聴きたくない!
言い終わらないうち一言の下に封殺する。

なあ!アルテノミナさん!地上にもっかい戻れたらいいのになぁ。

・・・・・・、もう神様との約束を破ったから無理なんだーあー。

どうゆうこと?

草むらに、木々に,碧空に、いますからー!これで十分。

え?どんな約束?

愛の為に、別なことをしたから!

え?え?余計分かんねえよ。

頭と心は別なのー!

・・・・・・・・・・、・・・・・・・・・??

お------い!
藍空に、こだまする、声が。
したか、どうか。アンディのみ知るとこ。

ん?後ろ姿・・・・ソフィー似、気のせ、気のせ!


得た物は、愛だった!あとの財産は一切は、付属物であった。
この人生に悔いはなかった!
報われた愛?どっちでも良かった、ただ一途に愛した!これだけは誇りだ!

空の彼方に目を遣る、この瞳に一点輝るもの・・・・・・。

想いとまらない 愛しい人よ

さようなら 僕のただ一人の恋人よ

さようなら しばしの間

僕はまた戻ってくる 恋人よ

たとえ1万マイル離れていようとも

愛し続ける 愛しい人よ

命の砂が尽きるまで

And fare three well, my only luve

And fare three well, a while

And I will come again, my luve

Tho’ it were ten thousand mile.


チャンスに出会わない人間は、一人もいない。
それをチャンスにできなかっただけである。


お し ま い


そ の 他。

膨大な富の源泉となる個人が所有するなかでは今なお最大の製鋼所を経営するまでに至るが、いとも簡単に去ってしまった、なぜ?そうしたか?
そこに、もっと大切な宝物を見たから!

1855年、スコットはアンディ即ちカーネギーに500ドルでアダムス・エクスプレスの株式を購入する話をもちかける。
カーネギーの母が700ドルの家を抵当に入れて500ドルを捻出しました。数年後、オハイオへ移動中のカーネギーに発明家のウードルフが寝台車のアイデアを持ちかけ、ペンシルバニア鉄道は試験的な採用を決めました。
ウードルフに誘われたカーネギーは、借金をして寝台車のための会社に出資し、大成功を収めることになります。

彼はそうして得た資金を鉄道関連の会社(鉄鋼業、橋梁建設業、レール製造業など)に再投資していきます。そうして徐々に資金を蓄えていき、後の成功の基盤を築いていきました。
その後も企業を設立する際にトムソン(スコットの社長のJ・エドガー・トムソン)とスコットとの密接な関係を利用して、レールと橋梁を供給する会社を設立した際にはこの二人に株主となってもらいました。

あるとき鉄道の通る木橋が焼けて、数日にわたり鉄道が不通になる。
その時カーネギーは、これからは鉄橋の時代だと将来を見通し、戦後、カーネギーは鉄道をはなれ、鉄橋をつくる会社を創設。
その後さらに、ピッツバーグに最新式の製鉄工場(エドガー・トムソン工場)を設立し、アメリカでのベッセマー製鋼法の最初の利用者のひとりに名を連ねる。

この事業は大いに成功し、ほかの大製鉄工場の支配権をも獲得していった。
その利益はカーネギー製鋼会社に連結し、1899年にはアメリカの鉄鋼生産の約25%を支配する。まさに独占状態!
1901年にモーガンがUSスチール社を創設すると、彼は2億5000万ドルでカーネギー製鋼会社を売却し、引退した。有り余るほどの財力、これに魅力を感じなくなった。

1860–1865、南北戦争の前に、カーネギーはウードルフの会社とプルマン社の合併を仲介した。
プルマンは800km以上の長距離の旅行が可能な一等車寝台車を発明した。
その際の投資は大いに成功し、ウードルフとカーネギーの利益の源泉となった。
その後もカーネギーはスコットの下で働き、鉄道のサービスにいくつか改善を施している。
1861年春、軍隊輸送の責任者(陸軍次官補)に任命されたスコットはカーネギーを東部の軍用鉄道と合衆国政府の電信網の監督に任命した。
カーネギーは南軍によって寸断されたワシントンD.C.までの鉄道路線の再建を支援した。
第一次プルランの戦いでの北軍の敗北の直後にワシントンD.C.への北軍の旅団を輸送する機関車に乗り込み、敗軍の輸送も現場で監督した。
彼の指揮下で電信サービスは効率化され、北軍が最終的に勝利する大きな一因となる。
南軍を打ち負かすには大量の弾薬を必要とし、補給には鉄道と電信が大いに活用された。この戦争で電信と云う産業の重要性が明らかとなった。今でいう情報力である。

南北戦争があったため、艦船の装甲、砲、その他様々な工業製品に使用するため鉄鋼の需要が高まっていきます。
やがてピッツバーグは軍需産業の一大拠点となっていきました。
カーネギーは戦前から製鉄業に投資していたので、これも富の源泉となりました。
南北戦争終結後には、製鉄業に専念。やがてカーネギーはアメリカで個人が所有する最大の製鋼所を経営するまでになり、製鋼業で有り余るほどの財産を形成しました。

ここまでなって、ここまでして、自他共に世界一になって、それでも財産に地位に興味を得なくなった、他に魅せられたものは、者は、何か?
碧き心の主なら この翼を開く者なら、この碧き空に、そして、この碧き大地に、碧き思いを抱く者なら、わかることでしょう。

今世紀も、来世紀も、きっと、再び現れる。
同じ人が!


本ストリー中に登場する人物および行為はすべて事実に基づき正確に、愚直なほどまで、記したつもりです。
大河ドラマのように所々に、面白ければイイ一辺倒に傾斜することなく、また、一方的に事実を曲げるようなフィクション(演出)を試みることなく、事実その物を表してきました、その意を読み取って頂けたのなら幸いです。

また、純文学の意図する、共有しうる価値観、につき、必ずしも及ばなかった未熟さが悔やまれてならないが。しょーがないよ、文は人なり、欠点もなにもかも出ちゃうからね。


さー、次回作はエンタメマッハでいくよーん。will be・・・・・・予定は予定だから。

ご愛読センキュ~~~★”  
(〃⌒ー⌒〃)ノ゛゛゛゛~~~~~バイバァ~イ

碧きユメに! 39ラスト回

碧きユメに! 39ラスト回

  • 小説
  • 短編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-12-29

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