チアーズ!!~☆‘’ 38

ひとかけらの幸 38

ヒューー---ン!!
ゆくゆくぅー---!景色!遠―く!遠―--く!

ガッタン ゴットン!
車窓横、景色ゆったりこ~ん。

どちらも程良く心地好い列車揺れ~。
ふたりの意見が一致していたからです。

ルードルフさん、寝台車導入は確かに画期的な移動手段となります。
何よりも鉄道利用者の増加が見込まれる点にあります。
経営的に大いなるメリットを生みます。全路線に導入が加速します。
そこで、わたし一人の権限では決められないのでボスにさっそく相談したうえでご返答させていただいてもよろしいでしょうか。

是非ご検討ください。ここが私どものオフィスになっています、ご返答をお待ちしています。

了解!その際に詳細な図面・単価・製作日数などを書いた図面等を添えて頂けますか。

調査部暮らしのデスクに戻る。
ホッとした!
と、安ど感もそこそこ、何度か外にと、天井にと、目をちらちらと忙しげに動かす。
帰社はしたが直ぐにはボスに報告しなかった。
バカ正直にはなりたくなかったからである。

先ず自らが、性能・効能・適正コスト・利便性等を精査し、これならいけると判断した上にあげるという手段をとりたかった。

何でもかんでも得意気になってベラベラ喋ればいいというものではない、返って「おまえっ バカっか!」と云われないまでも心内で思われてしまった社員らを幾度となく見ていたからです。

きっちりと精査し吟味した上で報告すれば、上司は楽でもあり、自らの評価を上げることにも通じる。通じれば出世にも繋がる、という思惑だ。

列車内での巡り会いから一週間ほどして・・・・・でっかい箱が、出社すると、デスク横にドーンと高々。
ウードルフから詳細な仕様書が図面と共にアンディ宛に送られていたのだ。
箱の大部分は根菜などの皮むき器他等々が同梱されていた。この皮むき器も後に大ヒットするようになるが、彼も即ちウードルフであるが唯ひたすら一生懸命になっていることだけは理解できた。

後々になるが、アンディが製鉄所を興した折、この発明家のアイディアがヒントとなり当時としては画期的な大量生産可能はもとより炭素含有量の高い銑鉄を制御出来る高速なテクで燃焼させてしまうという炉を発明するようになる。

このようにウードルフのアイディア豊富な能力は、双方とも人柄の良さもあってか、この巡り会いを機に、長く続いていくことになる。
環境とは人、まさに人そのもの!熟(つくづく)実感す。

その後何度なくアンディは、ウードルフとの間で、車内ベッドに係る改良点を幾つも幾つも加え、ついに彼のボスであるスコットへと行動を起こした。
慎重かつ敏速だった。

敏速に電報を打った。
「カキュウホウコクアリ(火急報告あり)。ジュゥダイナイヨウ二ツキヒミツカツヨユゥアルソウダンジカントヲネガウ(重大内容につき秘密かつ余裕ある相談時間を願う)」
スコット宛親展として打った。

彼は会社トップの立場上、分刻みでスケジュールが入っていた。経営会議・個別面接・政治家を含む数々の接待・アソビも無論のこと含まれていた。
そこへもってきてアンディの立場はどちらかといえば、通常の上司関係にとどまらず、個人秘書・右腕・そして軍師をも兼ねていたといえる。と当の本人は自負していたのでは・・・。

さっそくレスポンスも速かった。
スコットは、この電報の翌日には、アンディとのミーティング時間を、電報で「重大・・・秘密・・・」との文言からよっぽどのことと思い、たっぷりと設けていた。今か今かと待っていた。

アンディが現れた。ニコニコ顔をしていた。スコットも笑顔をしていた。が、ボスサイドの表情には、混じって緊張したシワが顔の所々に浮き出ていた。

お忙しいのにわざわざお時間を割いていただいてありがとうございます。早速ですが・・・・・。

そう云うアンディの話を最後まで聴かずにスコットはさえぎるように口火を切って。
どうした?なんだ?一体何だ? ズバッと要点から云ってくれ!

スコットの表情に険しさを見るアンディ。
はい!ビッグチャンスです。会社発展とボスの評価アップにつながっていく二件かと思って!

で? カモーン!はやく結論を云え!
せっかちというか・・余裕兼備のかけらも失せているのか・・・・・。

そのボス、短気である。頭の回転は早い!
アンディは短気ではない。が、負けじとキレる頭はしてる。

思いっきり云うことにしたアンディ。
ウードルフ氏、その人柄、列車に設置するベッド、図面と使用書等の精査、単価、結果、どれを取っても急ぐに越したことはないと踏んだのですが!?

更に、思いっきりが。
それに、私たちが秘密裏に他社に先んじてノウハウを独占してしまえば、後に追従してくる他社も増え、その増えた会社から多額の使用許可ロイヤリティもインカムすることになります!・・・・・ねえ!ボス!!

一気に云い切ったアンディ。
一気に聴き終えたスコット。

しばし息を殺す。押し黙るボス。表情に増えるシワが時折ピクピクと動く。
沈黙の長い時間。たった数秒であったが長く感じた。

たしかに!たしかに!!
一息おいて発するスコット。

あとはボス次第です!

すごい!
一言感嘆語をはくスコット、ようやっとシワの形状が普段の形に。

よかったー!ご納得していただいて。

じゃなく、アンディだよ。君だよ!必ず大物になるな!

耳にし満更(まんざら)でもないアンディ。
いや~ぁ、おれはボスのために働くだけです、参謀役を果たしてればいいのですが。
参謀役どころが後にボスを抜き実際に超大物となるのだが・・・・。

まぁ!これからも頼むよ!

で、さっそく具体策ですが・・・よろしいでしょうか?

うんうん!! つづけて!

かくしかじか云々・・・・・。
なので先ず、全路線に大々的に設置する前に試験的に、且つ、部分的に設置を考えた方が、改良点やら乗客のニーズやらが掴めることから、その上で全線全てに設置有無を決めていった方が経営的にも会社もスムースに進むのではないでしょうか!?
・・・・・・うんうん。これを遂行する場合、別に寝台車専用会社を興し、ここから展開していった方が、万が一の時には、共倒れを防ぐ安全弁にもなります。どうでしょうか・・・。
早送りで話した。

シャンパン飲むかい♪♭、アンディくん!
顔面全体のシワが伸びるスコット。呼び捨てではなく、くんをつけるときはご用心あれ。
隠れ下心が多いからです。

二つのグラスが交差する。チアーズ♪
心地好いグラス音~☆‘’

互いのグラスの交わり、
同時に二人の息も交わり。

空には、明るい、二つお月さん、満面、笑顔。そう見えてしまう。
環境心理ですね。宇宙法則ですね。シャンパン酔いですね。

チアーズ!!~☆‘’ 38

チアーズ!!~☆‘’ 38

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-12-29

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted