貴方の声に恋をした

最初はただの好奇心。
こんな出会いがあるなんて、こんな気持ちになるなんて思わなかったの。
知ってるのは
貴方の声だけ。
居心地のいい
貴方の声だけ。
気付いたら、いつのまにか
あたしは…


貴方の声に恋をした。

いつもの毎日

「綾音、起きなさい!学校遅刻するよ!」

いつもの朝。

小学生の娘を起こして
朝ごはんを用意して

「気をつけてね、行ってらっしゃい」

送り出す。


「さて…美織!琴羽!保育園!」

次女と三女も起こして保育園の支度。
いつもとかわらないバタバタと騒々しい朝。

私は自分も支度を済ませ
子供達を保育園へ送り出し
仕事先へ向かう。

そんな繰り返しの朝。






「ねぇねぇ、盛岡さん聞いてよ!旦那がさー…」

仕事先
凄く不満そうな顔をして旦那さんの愚痴を話してくるのは
私の1つ上の先輩、山内さん。
凄く綺麗な人で
仕事も細かくこなしてくれて
頼りになる、仲のいい先輩

旦那さんと離婚の話がでているようで
いろいろ大変そうだった。


「好きになれる人が現れたら、少しは気持ちが楽になるのになー…。何て言うか、旦那の事考えなくて良くなるから、自分の気持ちが楽だよね、ずっと旦那の事でイライラしたり悩まなくていいし。」

それは
物凄く、わかる。

「楽しみがほしいなー…」


私は旦那を嫌いな訳じゃない
逆に旦那の事しか興味ない。

でもだからこそ
辛いときもあった。

結婚して7年。
そのうち6年間は
旦那の女好き、浮気癖に悩まされた。

旦那の行動1つ1つを疑ってしまったり
浮気されてきた過去のフラッシュバックに悩まされた。


私も他の人に興味もてれば
他に好きな人ができれば
少しは気持ちが楽になるのかな

そんなこと思った事もあったけど
実際
他の誰かを好きになるなんて、
無理だった。



無理だった。
今までずっと。










「お疲れ様でしたー」


仕事が終わると
子供達の迎え。
そして夕飯の支度をして
子供達をお風呂に入れて
寝かしつけ。


そしてやっと、自分の時間。

旦那は日勤だと子供達を寝かしつける時間に帰ってきて
夜勤だと夕飯を食べてから出勤する。

旦那が帰ってくるのが待ち遠しかったし
夜勤で夜居ないのは寂しかった。

凄く
旦那に依存してるみたいに
あたしには旦那だけ、だった。




でも




ある日
1つ楽しみを見つけた。



小さな楽しみ。


そのときは
ほんとに小さな楽しみだった。

貴方の声に恋をした

貴方の声に恋をした

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-12-26

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted