窮鼠猫にかまける。

これは、昔々のあるふたつの国にまたがったスパイの物語。
裏路地をいったりきたり、男がにげまわっている、一体何からにげまわっているのか
ついに影におわれて、人物は袋小路に、
大きな影に覆われた。

「助けてくれえ!!」

「やっぱり美男子ね。」

ある時代、あるところの、大国にスパイとして侵入していた
ここ2日3日で、自分の捕まれたのではないかと悟ってはいた男だったが、
隣の国、小さな男の故郷に戻る算段を立てていたが、かなわず、
とうとうある人物にみつかり、その責任を問われ、いままさにつかまろうとしていた。
袋小路においつめられ、
その大女においつめられ、肩をがっしりとつかまれ、悶絶していた。
「ふふふうふ、どうしようかしら?」
隣国、小さな国のスパイである事がばれるまで、
その職場では身分を隠し、よくやっていた。
情報を横流ししたし、周囲への気配りもできて、優男として通っていた。
男の選んだ職場がまずかった。


この男の職場は、国の特定重要機密を扱う部署、政府直属の諜報機関。
ある程度独立して謎につつまれた組織だ。
しかし、“スパイ”的な活動をしていることは広く知られている。
この隣国のスパイは、
スパイ組織に潜り込んで、スパイとして捕まった。
まぬけな話。

高い身体能力は買われていたが、この大女にはかなわなかったらしい。

「黙っている、黙っているから!!」
そういって女性に許しをこう男性。
「あなた、何を言っているかわかっているの?
 そういって嘆願した悪人が許されていると思っているの?
 おとなしく私に嬲り殺されるか
 奴隷になるしかないのよ、
 あなたは“素性をしられたスパイ”
 国に戻る事はできないわ。」

その日はすでに周囲は暗くなりかけ、
日は落そのあたりは、街灯があるもののビルが多い、おかげで影がこく双方顔はよく見えない。
たまにさす街灯や、車のライトで男の姿や容姿はかなり美しい青年のようにに見える。
しかし男に逃げ場はない。

おいつめたのは腕力のありそうな恰幅のいい女性。
そしてにこにこしている、こちらも愛らしい。
可愛らしく愛らしい顔つきが、どこか恐ろしい、
顔から下をみると、体つきは……筋骨隆々。

「助けてくれえ!」
男は、最後の力を振り絞ってこう叫んだ。
「奴隷にでもなんでもなるから助けておくれ!!」

にやり、大女は急にタックルするような動作になり、
男を抱きかかえて、
手と口と足をしばって、
男は何度も抵抗したが、抵抗もむなしく。縄でしばられ、大女は
家に持ち帰った。

「あんたは、私の奴隷になるのよ」

そういって、男は女の家の空いていた一室に閉じ込められた。
それから何日、何十日もそこで洗脳を受けた。

……それから男は奴隷になり、こき使われる事になった。
女は男の正体を本部に報告しなかった。
男も口をつぐんでいた。
だが徐々い、
職場の人間達にも彼の素性やその後は知れ渡る、
だがその女性の信頼はまだ厚く、そもそも敵国の人間をどうしようと
その国の人間は冷徹だった。
「あの国の出身なら仕方がないね、それに、あの人にまかせておいたら、飼いならされて終わりだし、
 あの人に任せておくこと自体、いい尋問になる。」
もと同僚たちはそう噂した。
いつも、得に休日は二人で、ペットのように扱われる男と、男のタズナをひいて歩いている大女が目撃された。
雨の日には

男の名はアヌ、女はヘラという、
その名前は、一週間もすると知れ渡る
そもそもそれが実名かはわからない
二人ともスパイだし、ただ、スパイとはいえ噂は広まるもので、
この奇妙な物語は奇妙な時節柄とタイミングがかさなって、
この国で格好な面白い噂話になった。

男の故郷は、それからわりとすぐ、首都が陥落した。
半年もしないうちに男の故郷は、ほとんどその国に荒らしまわされ、
その隣にある、この大女の大国に支配される事になった。

そのスパイ男の素性を知るものは、無様な寝がえりをわらったが、
命欲しさに自分を守るその態度を、心のそこから侮蔑するものはいなかった。
そして男のふ抜けた様子をみて。
「おら、またあいつ首輪をつけられて散歩させられているぞ」
この悪趣味な“主人”にいいようにペットのごとく扱われている様子をみて
憐れむものもいた。
哀れみだけでなく、愛情を持つものもいた。
それは、彼の容姿がとても美しかったからだ。
しかし、憐れんで美少年に近づく女どもは、
皆行方不明になった。

男は時々、あの袋小路にきて、泣いている姿を目撃された。
それはかつての職場のすぐ近く、
今は文字通りペットのような生活をしていて、
華々しいスパイ生活も、
秘密機関としての役職や仕事もうしなってしまった。
「俺は、需要がないのに生きている、人間のクズだ、生まれながらにしてポンコツだったのだ」
彼はこうやってないていた。
人々は慈悲の心をもち、なけなしの金銭を恵んだりした。
まるでドブネズミのような生活。

しかし、このスパイ男も、
本当は復讐という目的を忘れてはいなかった。
それは、長い時間がたち、
男がふつふつと復讐心を、回りに気付かれないように抱きつづけた結果。
3年後彼女を殺害するまで、
彼がただの浮かれ野郎ではなかったという事を
証明してから、
人々もやっと、彼が3年間、自分を偽っていたペテン師だったと遅れて気がづいた。

大女のヘラ、
彼女が弱弱しい、頼りない、美男子好きであるという事は袋小路に追い込まれたあのときすでに彼自身掴んでいた情報だったのだ。
彼はたいして美青年ではなかったが、整形をして顔をかえた。
それまでにも何度も顔をかえてきたのだが、ひとつ前の顔はあまりいい顔ではなかった。
あのとき追いつめられたのはわざとだった、故郷が大国に攻め入られそう長くは持たないという事をしった彼は
復讐の機会を待っていたのだ。

男による女、大女(ペットの主人)の
殺害方法は、1週間男と同じ暮らしをしたあとに、
男の故郷で拳銃で撃たれて死ぬというもの。
後者の復讐方法については大衆の同情もえられたが、
前者はやはり根に持っていたかと、故郷や男の暮らした大国で噂になった。

それからの後の男の行方は誰にも知られてない……らしい。

彼は永遠にスパイになったのかもしれない。

窮鼠猫にかまける。

窮鼠猫にかまける。

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-12-16

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