癒しの空間


はぁ…つかれた…


大学に通い始めて半年以上たった。
夏休み頃からバイトにも通い始め、今では学校終わりにシフトが入っているのが当たり前になってた。

辛い…
それは死ぬほど辛いにきまってる。

だけど、その辛さを消してくれる…まではないんだけど、緩和してくれる癒しがある。
バイト終わりにその先へ駆けつける。少し道を入ったところにある小さな建物ある。そこで立ち止まり一呼吸つき、ドアを開ける。

カランカランッ

『こんばんは、いらっしゃいませ。
お一人様でよろしいですか?』

「あっ…はいっ。」

少し言葉を交わしただけなのに、胸が熱くなる。あー、ダメだ。私、この人に弱い。
優しく微笑む表情。包み込んでくれるような温かい声。すごく心が落ち着く。でも、いざとなると緊張と嬉しさが混ざり合ってわけが分からなくなる。

『あちらの席にお座りください。』

そういうと席に案内してくれる彼。
1ヶ月前に寄ったこのカフェ。そこで、彼に出会った。太陽のように包み込むような彼の笑顔に惹かれ、毎週金曜は必ずここに訪れる。

イスに座り、メニューに目を通す私。その隣で注文を待つ彼。その数十センチの距離にやっぱり意識してしまう。

「ホットカフェラテひとつお願いします…」

『ホットカフェラテひとつですね。ありがとうございます。』

そういうとカウンターに戻り、すぐに作り始める彼。その姿がいつもカッコよくてついつい横目で見てしまう。

そんなに背が高くなく、カッコいいと言うよりは可愛い感じの顔立ちであり、猫系男子(?)のような雰囲気である。容姿や言動から見ると、20代前半頃であると思う。

癒しの空間

癒しの空間

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-12-16

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