*星空文庫

【連載】高千穂峡のすみれ草(E.3話)

万田 竜人(まんだ りゅうじん) 作

四つ目の胴体には「何が入っているのか」・・・

 ここには、能力主義という怪物が潜んでいる。

 かつて、国際社会において円高が急速に進んだときに日本人の給与ベースは世界的
な給与標準に比べて相対的に高くなってしまった。

 国内だけで暮らす限りにおいては、可処分所得が増えた訳ではないので、豊かさの
実感はないが、輸出産業などにとっては、この給与ベース高が足枷になって、企業の
業績を圧迫することになってしまった。

 そこで、能力主義という美名の下に、全体の給与の引き下げと、団塊の世代の後に
続く、若手幹部の急速的な育成という中長期的な企業戦略と戦術に基づいた目的のた
めに多くの企業で能力主義が導入された。

 しかしながらこれはサッカーのなでしこジャパンに代表される日本人独特のチーム
ワークの良さを捨てることでもあった。国内でも賢い企業は、所期の目的を達するや、
さっさと、チームワーク重視にシフトしているが、そこに、気付かない企業の多くは、
新入社員の早期退社などという事態に直面している。

 元々が、チームワークで業績を向上させてきた日本企業にあって、お互いの手柄の
ぶんどりあいというような事態を招く恐れのある能力主義は、日本企業には不向きで
あると啓介は考えている。

(続 く)

『【連載】高千穂峡のすみれ草(E.3話)』

『【連載】高千穂峡のすみれ草(E.3話)』 万田 竜人(まんだ りゅうじん) 作

  • 小説
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2017-12-07
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