ママ、僕のこと好き?
毎朝の満員電車、飲食店で注文料理を待つ人、街を歩く人々、その人たちの手の中には一つの世界が握られている。多くの情報が飛び交い、いろんなゲームがあり、誰とでもいつでもつながることのできる世界だ。人々はこの世界にどっぷりとはまり、今や手放すことのできない世界だ。この世界の流れはとても早く、みんなおいていかれないように必死だ。必死にその世界に入り込み、その世界で素敵な人と見られたくて、写真をとりまくる。その世界はとても便利で、誰とでもつながれる寂しくない世界だ。
しかし、その世界は人々の手の中にある世界であり、その世界に僕はいない。その世界で人々と触れ合っていると錯覚をしているだけなのだ。それでもなお、今いる世界に満足できなくて、手の中にある世界に人々とのつながりを求めるのだ。
僕はなぜ違う世界に生まれてきたのだろうか。ママの手の中にある世界に生まれたかった。その世界に生まれれば、ママは僕をいつでも見てくれる。僕のことを好きになってくれたかな。
ママ、僕のこと好き?