酸素カプセル

私にとって 酸素とは



あなたそのものだった



もちろんのこと 私は あなたがいないと



息ができないから 死んでしまうし



仮に少し長い時間を生きることができたとしても



もがき苦しむことになるでしょう



あの爆発的で挑発的な音



才能の塊みたいなものだった



特徴的で個性があって なおかつ 魅力が溢れている



どうやったって 人の目を引いてしまう



あなたは いつでも 世界中に人に訴えることができた



自分の頭の上にある 空の青さ 広さ



恋をしたことのないものに 恋をする素晴らしさ



恥ずかしさ 甘酸っぱさ いろいろなことを伝えることができた



音を材料とした 芸術 または 時間的芸術



あなたは その才能が凄まじかった



どんな器楽も すぐに習得できた



どのジャンルの音楽にも 優れていた



あなたは いつも注目の的だった



ただ あまりにもできすぎていた



人間ってのは 醜いもので



自分の気に入らない人が現れると



そいつを潰してしまおうと 考える人がいるのだ



あなたは それによって 命を撃ち落とされた



私の酸素が この世界から消え去ってしまったのだ



ああ 間も無く私は死ぬ



さようなら あなたの音たちよ



粒になって 振動となって 現れて消えて



また現れて消えて



さようなら 悲しき音楽たちよ



あなたたちに出会えてしまったから 



私はこんなにも素晴らしい生きがいを



見つけてしまったのね



ありがとう さようなら



あなた 私の酸素

酸素カプセル

酸素カプセルとは、すなわち地球。

酸素カプセル

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-11-26

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