僕らのはなし

まっさらな青に憧れている。
僕はいつだって君を遠くから眺めているだけだ。
ぼうっと口を開けながら君を見ている僕の顔は、そちらからはさぞ間抜けに見えているのだろう。
僕の中でぐるぐる廻っている灰色。
もう、あと小指の爪ほどの黒を垂らしてしまえば真っ黒になってしまう灰色。
そいつは今、僕の隣に腰かけてたぶん同じような顔で君を眺めていることだろう。

このなんでもない世界の中で、僕の存在価値など全く無いに等しい。
好きなことをしてやりたくないことは誤魔化して、ただ息をして白い二酸化炭素をまき散らしているだけのモノ。
危機感なんてまるでない。それはもう笑っちゃうくらいに。
世間様から見ればただのわがままな子供なのだろう。

働いて、結婚して、子供を育てて、家族を愛して、家族に見守られながら死んでいく。
こういう人間が立派な大人で、立派な人間なのだろう。

、、まあ、こんなことを胸の内で考えていても灰色を増やすだけで何も意味はないのだが。

ほうっとついた溜息は白い二酸化炭素になりどこかに消えていった。

僕らのはなし

僕らのはなし

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-11-18

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