*星空文庫

老夫妻

八六七 作


 君で良かったと思えることをあげるとキリがない。だから今はやめておく。残された一言はここで使うのは惜しい。
 涙を浮かべながらも笑顔で僕を見つめる君を、僕は今も昔も、そしてこの先も永遠に愛し続けるだろう。
 神に愛を誓い合うその前から、僕はどれほど君を愛していただろう。夫婦となる日をどれだけ心待ちにしてただろう。嬉しすぎて、涙が頬をこぼれ落ちたのを今でも鮮明に覚えていて、それを見た君が優しく笑いかけながら僕の涙を拭ってくれたことも憶えている。
 あれから随分な時が過ぎ去ったなあ、と微笑みながら僕は君の頬に手を伸ばす。

 貴方のことを貴方に向けてぺらぺらと話す私は、きっと傍から見たら滑稽なことでしょうね。
 でも貴方の好きなところをどうしても伝えたくて仕方がないの。そんなこと、あげたらキリがないのにね。永遠にこの時間が続けばなあ、なあんて笑うと、貴方は微かに微笑んでくれる。
 好きだよ、と言われたあの日から私は貴方のもので、貴方も私のものだった。愛し合い、慈しみ合い、労わり合いながら過ごしてきた日々は長いようで短かった。
 ずっと前から、そしてこれからも大好きで、愛してる。ずっと、ずっと。
 貴方から伸ばされた手を握り、私の頬へと誘導する。

「愛してるよ」

 そう言って眠りについた貴方へ。

「私も愛してる。すごく」

『老夫妻』

『老夫妻』 八六七 作

  • 小説
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2017-11-14
Copyrighted

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