*星空文庫

雪の日1

緑谷式 作

 ある雪の日、僕は一人で彼女を待っていた。彼女、久美子を・・・
僕は初めて彼女に会った時のことを思い出す・・・・
 僕は十六才だった。そうして彼女は十五才だった。僕達は二人とも
若かった。そうして僕は無謀だった。僕は街で偶然、彼女を見た。
 彼女は背が低く(と言ってもそれは僕に比べてだが)髪を茶髪に
染めていた。彼女は高校の制服を着ていた。そうしてどこかさみしげ
に・・・どこか自分の中の何かを持て余しているようだった。
「君、可愛いね、どこの高校の子?」
 僕は自分でも驚くくらい流暢にその子を口説いていた。なぜかは
分からない・・・・
「あなた誰?」
 そう彼女は言った。その眼付はとても十六や十七ではない、鋭い
眼付だった。
「いや、僕は高校生だけど、良かったらその辺でお茶でも・・」
「私、今は、そういう気分じゃないから・・・」
「でも、こうしてせっかく出会ったわけだし、ね、いいでしょう?
ちょっとお茶でも・・・無理かな・・・じゃあ、僕のアドレスを
教えるから・・・いつか、連絡してくれる?」
 そう言うと、僕は自分の学生鞄からノートを取り出して、ちぎり
メールアドレスを書いた。
「じゃあ、後日・・・・またきっと会えるよね?」
「・・・・・」
「ごめん、急なこと言って、でも僕は君を好きになったから・・・」
「でも、私には・・・・」
「いいんだ、友達でもいい、ただ、君とまた会いたい、それだけだ。
じゃあね、僕のこと、忘れないで・・・きっとまた会えること、僕は
期待してるよ」
 そう言い僕は彼女から去った。

『雪の日1』

『雪の日1』 緑谷式 作

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2017-11-14
Copyrighted

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