*星空文庫

アキレスと亀 異聞⑥

ケケロ脱走兵 作

       「アキレスと亀 異聞⑥」


 アキレスは亀が来るのを待っていた。待っている間にこんな馬鹿げた競

争を引き受けたことを後悔していた。

「どう考えて見ても亀を追い越せないなんてことはあり得ないじゃないか

。これまで追い越せなかったのは競争以外のことに気を取られすぎたから

だ。もう次は何も考えずにただ走ることだけに集中しよう」

そこへノコノコと亀がやって来た。亀は、

「よぉ若いの、遅くなって申し訳ない」

と謝ったが、アキレスは何も応えなかった。亀は怪訝に思いながらゆっく

り駈け出した。亀が見えなくなってからアキレスもスタートラインに立っ

たが、何を思ったかコースとは反対の方向へ駈け出した。

 しばらくして亀がゴールしてもアキレスは現れなかった。亀は、

「いったい奴は何処へ行ったんだ?」

とその時、アキレスがコースの反対側からゴールを目指して全速力で走っ

て来た。それを遠くから見ていたガリレオはしばらく考え込んだ後、

「そうか!地球は丸いんだ」

と言って、手を打った。

                         (おわり)

『アキレスと亀 異聞⑥』

『アキレスと亀 異聞⑥』 ケケロ脱走兵 作

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2017-11-12
Copyrighted

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