浮気な果実

自分が愛しく思うものは
まるで浮気な果実のようだ
まだ青く実の硬いときもあれば
指が沈むほど柔らかいときもある

愛しきものは果実のようだ
心からの口付けを交わしてみれば
酸味で舌が痺れるときもあり
大袈裟な甘味に舌が煩うときもある

程良いころの果実に触れれば
それだけで心は喜びに奮う
幻のような香ばしさのゆえに

人は時機に疎い愚かな阿呆者で
心から愛するものを身近にしても
悪気ない無知のために見失う

浮気な果実

浮気な果実

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-10-19

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted