*星空文庫

二つ目サイクロプス

ドライアドの本棚 作

旅商人の話、
神話の時代の話までさかのぼると
人間がどうしてうまれたかすら、怪しくなるだろう

それとおなじく、いつ、どうやってうまれたかも定かではない。
別の種族も、勝手に生まれて勝手に死んでいく。

そのひとつの、
巨人、サイクロプスの族は
砂漠を超えた向こう、猫の像がある貧しい村の、さらに向こうの山々を超えて、
大きな洞窟の中の、つめたい洞穴の世界に住んでいるという。

その洞窟の中は、辺り一面氷で、鍾乳石のようなものや、実際につららのようなものがそこら中からぶらさがって垂れていて
奥へ進むと、地面がきっちりと整理されている。

入口にはまず、巨大な斧をつくる職人の工房がある。
彼らは、ドワーフ族、典型的なひげのおやじだ。
その人は有名人だよ。
ザンとか何とか。

さらにいくと扉があり、その扉で、持ち物を厳重なチェックをされる
チェックを担当しているのは、ドワーフ二体と、知的なエルフだ、
エルフはヨタで、ドワーフは小さい方がグラと大きいのがグリリ、女性だ。

厳重なチェックをクリアすれば、色々な種族の住むエリアだ。
多種多様な種族がわいわいと、
色々な商売をやっているよ、
まず、サイクロプスの暮らす村より手前に
それをささえ、共生しているものたちの生活域があるんだね。
きらびやかなお城風のたてものもあったけど
資材や食料をどこから調達してくるのか、謎だったね、
もっともこの辺では宝石がとれるらしいが。

花屋、喫茶店、飲み屋、色々あるよ。

そのさきをとことこさらに歩いていくと、
一つ目のサイクロプスの兄妹がいる。

それらの仕事は門番、
その先はサイクロプスがすんでいるし、ひとつめだからふみつぶされると危ない。
だから門番のさらに厳重なチェックがある。

神話の時代では、人間よりはっきりしているらしく、
彼等は神様の体の一部からうまれたが、
(たしか神に近い種族)
行き場所がなく、ついにはそんな辺境にすむしかなくなったんだと、
だが彼らは人間と違って、完璧な心を持つ種族だから、
寂しかったり、苦しかったりすることはない、

人間や他の種族のほうが狩猟や、鍛冶や、野菜や植物の栽培などは得意だから、一緒になってくらしているけどね

その先を超えると、しゃべるウサギがいる、かなりうるさいやつだが、ただよくしゃべるだけのうさぎだよ
こいつは、何か特殊な理由で、サイクロプスには絶対ふみつけられないらしい、

その先に入るには、事前の許可がいるが、
私は軽々とクリアした、そこそこ名前は知られているのだ
この黄金のひげにも自信がある。
じゃらじゃらした首飾りを嫌う人間も多いのだがね。

私が——旅商人が——そのさきの、サイクロプスたちの住居に招かれた時の話だ。

奥にふたつ目がいた。

サイクロプスはひとつ目だときいていたのに

ふたつ目があった

(彼は誰ですか?)
と尋ねるのもぶしつけで失礼だと思った、

だが、商売をおえても、彼の事をじっとみていて
かれともずーっと目が合っていたので、
彼からしびれをきらして、私にはなしかけてきたさ。

皆は母親のおなかの中からうまれてきたらしいが
私は口から生まれてきたらしい
って

私はそこでようやくきづいた。

ただの無意味なジョークだってことにね、

きっとだれも、彼がどうして生まれたかしらないんだよ。
そもそも人間もしらない、
そう返したら、
2、3日とまっていくといいといって、
結局ひとつ目より珍しい、ふたつ目の巨人となかよくなってしまったよ

それだけの話さ。

『二つ目サイクロプス』

『二つ目サイクロプス』 ドライアドの本棚 作

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2017-10-12
Copyrighted

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