神さま信じないくせに

神さま信じないくせに


   



   



   



   



   



   
手を合わせられないまま 二日目の朝

「リル」

  もはや声も文字もなく



時間を経ても苦しい

目が覚めても咎で悔いた

          「さみしい」が救い



食べられなかったおまえ

毎日送った食べ物の写真 哀しく



「これだけしてやったなんて人じゃない」

最期にしてあげられたのか



「綺麗なものが寂しいね」

時がおまえを 寂しくかさねてゆくのか



すべてが遺言であったかのように

告げ残す言葉が

どこからも



傷のない

思いやりだけの短歌を

耐えて送り続け この終わり



どんなにか最期まで痛み苦しんだのか

蝉の音も 息が詰まる



俺の過去にながく妬いてたよね

俺も精一杯嫉妬していた



目が腫れたまま

口 半開き

それでも待ってくれない「いつも」が来る



苦しむなって 言うよね

いまは 苦しみたい

それがなお 苦しすぎて



「神さまはね、背負える荷物だけをひとに・・・・・・」

「神さま信じないくせに」



ほんとうに ほんとうに 遠くなった

生きるしかない

なのに 遠すぎる



おまえは

覚悟して 残していてくれたのに

こんな愚鈍な恋人だった



名前呼ぶおまえなく 

    文字も 声もない

生きること 疑わなかった


歩きたかったな

どんなおまえでもよかった 東京

臨終の刻

   



   



   



   



   



   

神さま信じないくせに

亡くなった直後の頃をこのごろほんの少しだけ見つめられる。

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神さま信じないくせに

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-09-22

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