東病棟2階

東病棟2階

   



   



   



   



   



   

「死のうって思ったことあるか」


「ない!」





はっきり

言い切ったよな

喫煙室

東病棟2階

大学病院

優しい 地方都市

暖かだった 十二月

クリスマスだった

先に退院していった

連絡先なんて交わさなかった

名前も忘れたよ

あいつ、元気かなって 夜


いつも

長年の連れみたいに

行くなって厳重注意の

外来に遊びに行ったよな

うっとりするいい女みつけて

「目の保養だよな」

笑いあった

笑いながら握手して

死ぬまでお別れ

散るように

だが優しい笑みで

また明日みたいに去った

俺の今夜 お前が いる


死んでったやつも

みんな

いいやつらだった

でもこんな

静かに惨めな夜

生きると

言い切ってくれたおまえを

思い出した

生かしてくれる

会えないが

借りができたな

どこにいるんだよって

口にして笑った





いいやつらだったさ


俺が思い出して


みんな 生きている。

   



   



   



   



   



   

東病棟2階

若い頃、大学病院の精神科病棟に入院していた頃のことを書いた。

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東病棟2階

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2017-09-21

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