*星空文庫

レ・ペティール

斎田 治矢 作

  1. 一、違和感
  2. 二、与三郎
  3. 三、菊子
  4. 四、死を選ぶ幸せ
  5. 五、さざなみビル
  6. 六、はじめから

自分が自分で無いような感じがする話。

一、違和感

私が私の物であるなんて今の一度も思ったことがなかった。

冷たく堅い床の上に、うつ伏せに広がる。四肢を四方八方に投げ出して、ぼんやりと口を開けている。酸素を吸い込んでいるような、また吐き出しているような。曖昧な。酷く曖昧な。ぼんやりとした気持ちで。頬をぺったり床につけ、瞳は虚空を泳いでいる。
 視界にぷんぷん飛んでいる、大きな銀蠅が何度か映り込んだが、別段気にするほどの事でもない。
 マイペースだとかぼんやりしていると言われる私だが、それに反して脳内はフル稼働していたりすることが多い。
 この私には悩みがある。幼い頃から変わることのない悩みだ。受け入れがたい悩みである。現に、いままで話した人々は口をそろえて「気のせいだ」「気にするな」というのだ。そうだ。人は自分の身に降りかかること意外に無頓着な傾向にある。それは私も例外ではない。ようは、誰も助けちゃくれないって話さ。手を差し伸べてくださる優しい神や仏は、所詮童話の中にしかいやしない。神はいない。じゃあ、人はどうか。同じだ。私も君も、誰も救えやしないのさ。これらが、私のこれまでの人生をふまえての見解である。降りかかる災難も幸せも他人事というわけさ。共感はできても、理解はできぬ。どうにもできぬ。結局、本人の問題は本人がどうにかするしかないのだ。私のひねくれた見解はともかくとして、他人に「気のせい」といわしめられるこの悩みを、一度ここいらで明らかにさせておこうと思う。この時間が、私の時間である以上、私のことを話さないでは終われまい。
「自分が自分で無いような気がする。」
それが、私の悩みである。
 記憶が一部抜け落ちるとか、知らないうちに何かしでかしているだとか、いわゆる多重人格的なそれと私の悩みは似て非なる物だと思う。「自分が自分で無い」というものいいではいささか説明不足だろうか。これでは語弊が生まれてしまう。言い換えるならば。
「自分の肉体が自分のものでは無い」
 これが私の悩みを伝える上で一番正しい答えだろうと考える。
周りの意見と自分の違和感が混ざり合う。混沌。そう、酷く混沌としている。私自身の違和感か。周りの意見か。どちらを信じるべきか。何が正しかったのか。他人に悩みを話すたび、自分の正しいと思うことがどんどん遠ざかって行くような気がしていた。正しいのはどっちだ。私の五感か。はたまた、周りの人間か。周囲の人の意見が、私の感じるところに混ざり合えば混ざり合うほど、何が善で悪なのか、どこに向かうべきなのか、解らなくなる。言葉の海に深く沈んで、きっと陸にはもう上がれない。そもそも自分がなんの話しをしていたのか。うん、なんだったかな。
 相談事は人を呼び、人は本題をずたずたに切り裂いて飲み込む。飲み込まれたバラバラの本題を、吐き出された各々の意見にすり替えて。針やら糸やらを使ってざくざく縫って繋げられた物が彼らの答えだ。本題の頭が殺げ変わる。そいつは、誰だい?
 「何を話し合っていたのか」さえも何がなんだか解らなくなってしまうわけだから。相談により生まれた意見は、私の正しさでは無いのである。相談なんかする前に、一つ考えてみることだ。私の正しさは、私だけが知っている。彼らは私じゃあないのだから。他人の意見なんて大概はあてにはならんのさ。

二、与三郎

なにせ、昔からそうなのである。これからもそうさ。いや、そうであることを願ってやまなかった。
 
 きらきらと光る水面をぼんやりと眺め、小さな木製の小舟をえっちらおっちら漕いでいる。沖の方に、ぽっかり顔を出している小岩まで、なれた手つきで漕いで行く。そりゃあそうさ。これが私の生業さ。昔から。そしてこれからも。大きな体で、ぽちゃんと小さなしぶきをあげて、海に静かに忍び寄る。この海が何万年もの時を経てはぐくんできた命を、少しずつ分けていただく。きらきらと海の上から見える魚の鱗。私の身体をその深い懐につなぎ止めようと手を伸ばす海藻。真っ暗な闇にぽっかり浮かぶ月が水面に映って揺らめく。この世の美しさは、きっとここに集まっている。幼い頃から、ずっとそいつを信じていた。これからもずっと。ずっと続けばいいのに。そう思っていた。
 しかし、信じた物は儚く脆い。
 岩の陰から、こっそり俺を見張っていたそいつはとうとう仕掛けた網を引き上げたらしい。そう、考えると人も魚も大した変わりは無いのだなと思う。

「戦地にゆかねばならん。」
 海からあがって、今晩の漁の成果をかみさんに見せて、にいっと笑うと、かみさんもにいっと笑った。捕った魚を生け簀にうつして、濡れた髪を解く。畳にあがってテーブルの前にぼんやりと、いつものようにひじを突く。空気をただ観ている。透明の空気。たかだか空気。無色透明故、どこにいっても当たり前に同じ物だと思われている。だが、私にはそれが場所によりけり、時には荒々しく、時には暖かく優しく、それらにもまるで感情があるように感じられる。ここの空気は、暖かい。ここの空気を吸えなくなってしまうのは、酷く寂しいことのような。そんな気がした。
 ふわりと上から白い物が振ってきて、私の頭に着地する。かみさんがタオルを頭にかけたのだ。かみさんの着物の裾を軽く引っ張って、後ろに倒れそうになるところを受け止める。
「いきなりはやめてくれや。」
またか。と呆れたように私を見上げるかみさんに、許せと笑うと「しょうがない奴」と笑われる。背丈は私の3分の2程度と小さいのだが、性格も口調も体力も男より男前だ。虫は素手でつかむし、漁だって付いてくる。私が、めったにひかない風邪で寝込んだ日には、山へ入って鹿を一頭しとめてきた。さすがにそれには俺も驚いて、風邪も吹っ飛んでいったのを覚えている。全くこんな小さい体のどこにそんな力を秘めているのか。人は見かけによらないとは、このことか。
「タオル、サンキュ。」
そう言うと、腕に囲われたままで私の頭に手を伸ばす。「早く拭かねえと、風邪ひくぞ。」なんて、ふっとほほえんでいつものように私の髪をかわかし始めるもんだから、とうとう私にも「お呼び」がかかっただなんて言えなかった。海からあがった夜は、たいていこうやってわしゃわしゃと髪を乾かされる。
 何故人は繰り返すのだろう。過ちばかりを、繰り返すのだろう。よく考えてもみてみたまえ。我々の滅ぶ要因なんてのは、いつも決まっているではないか。この間も、その前も。我々は欲によって滅んでいる。神だの、正義だの。それらは皆、個人の欲から生まれてくる。我々を滅ぼすのは、いつだって個人の醜い欲望だ。何度。何度目だ。我々が滅び行くのは、一体今回で何度目だ。終演はいつだ。終わり?決まっちゃいないさ。終わりはいつも気まぐれだったろ?五万年先まで続くかもしれないし、今すぐ滅びるかもしれない。ああそうか。ああ。そうか。人が本当に恐れていることは、自分の終わりを知ることができないことかもしれないね。
「どうした?」
 本当に風邪でもひいたのか?と心配そうにのぞき込まれる。少々考え事をしていたのだ。きっと、私は死ぬだろう。ここに戻ることはできないと、私の感覚が叫んでいた。私は独り死んで行くだろう。きっともう、君には会えない。何が怖い。死ぬのが怖いか。いや、君に。君に会えなくなるのが怖いのだ。君を残して、そこに何も無かったかのように消えていく。予測できない自分の終わりが恐ろしい。「死」というものに規則はない。この平凡に幸せな空気を、吸い込めなくなるのがどうしようもなく悲しい。まだ、死にたくない。君と。君と共に有りたい。それでも。

行かねばなるまい。

 私が生きれば、君がつらい思いをする。きっと、非国民だと罵られる。生まれた時代を恨むべきか。至極残念きわまりないが、今はそういう時代らしいのだ。一昔前なら、やれ人権の侵害だ、命は大事だ、戦争はいけないことなのだと、大口たたいていた者達も、いざ自分の前に危険や災いが転がり込んできた時には、案外あっさりと手のひらを返す。今この国を突き動かしているのは紛れもなく危機感だ。先手を打たなきゃ。殺さなきゃ。そうさ、自分が殺される。自分に忍び寄る危機を察知し、落ち着いて考えることをあきらめている。いや、まて。そもそも、考える機能が麻痺しているんだ。非国民。指を指されて大声で。私が逃げれば、私じゃない誰かが死ぬことになる。きっと君は恨まれる。その身に呪いを受けるかもしれない。災いが君を襲うのかもしれない。もう一度言おう。今はそういうご時世だ。仕方がない。そう、仕方がない。君が幸せでないのなら、私が生きる意味などない。

行かねばならない。

 いつもなら月を仰ぎながら飲む一杯の酒も、この日は飲まずに床についた。
「めずらしいな。呑まないなんて。」
 本当に風邪でもひいたのではないかと、眉を下げて笑うこいつの顔をもうすぐ見られなくなるなんて。知らぬ間に、心臓をそっとかすめ取られたような。ぽっかり無くなってしまったような、そんな虚しさが私の身体を占拠した。

三、菊子

母も、兄弟もみな、私のことを女の名前で呼ぶのである。それが、私の生まれてから今に至るまでの疑問だった。

まずは、下駄箱の中、白いシューズの中を、よく確認するところから私の学校は始まる。そしたら、大嫌いなスカートをひらひらさせながらなるべく人のいない道という道を選りすぐって、三階の一番奥の教室の窓際にあてがわれた私の席に向かう。無駄な衝突は避けるべきなのだ。机の上に菊の花が入った花瓶が置かれていないことを確認して、警戒しながら席へ。違和感。酷い違和感。いつもならここにたどり着くまで何かしら素敵な贈り物があるはずなのに、なにもない。静かすぎる。なにもないのは善いことだが。嵐。嵐が来るのだろうか。嵐の前の静けさかしら。ここの空気は、いささか血生臭い。
 
 きっかけはいつも、ささやかだ。クラスの主力の女の子の誘いをただ断った。それだけだった。仲間外れにされたくない一心で、他人につきあう一時間も、静かに自分のやりたいことをする一時間。どちらも同じ一時間。つき合いが悪いと仲間外れにするような、そんな女にやってしまうのは、少しもったいない気がしたのだ。
 集団は達が悪い。人の集まりは特に。人間がはぐくむコミュニティには、正しくないことを正しいと信じ込ませる不思議な魔力が有るらしい。私が置かれた状況を考えるに、彼女は私の行いが気に入らなかったのだと思う。結果、彼女は集団の魔力というものを私に行使したわけである。子供じみた。失敬。相手は子供であるから。仕方がない。

 耐えられないことはない。それが、私自身に向けられているうちならばな。

 いすを引き机に座って、むんっと一気に死の匂いが濃く香る。恐る恐る机の中に手を入れる。掌がぬるりとすべり毛むくじゃらの身体を撫でる。周りからくすくす笑い声が聞こえてくるなか、私の掌は毛むくじゃらの手を捕まえる。それをつかんで引きずり出すと、見開かれた青い目と私の目があった。にゃあ。死体が、鳴いた気がした。
 ああ。とうとう。とうとう他者が犠牲に成ってしまったか。
 魂はとうの昔に、ここを離れてしまったらしい。身体は固まり鉛のように硬直している。後ろから、人が近づく音が聞こえて、私は猫を机の上に横たえた。
「お前、今日誕生日だったよな。」
ゲラゲラと笑いながらこちらを見ている男子学生。黒い学ランの袖から覗く浅黒い手についた小さな爪の間に赤黒い固まりがこびりついているのを視界の端にとらえた。
 耐えられないことはない。私への悪意が私に向けられているうちは。この男は私のために他者を犠牲にした。私はそれが許せない。相談する必要なないだろう。これは私の正しさだ。他の誰にも理解できまい。これが、私の正しさだ。猫の命も、我々ときっと同じものでできている。たとへ険しい道だとしても。私は私の道を行く。私は君を許さない。
一瞬である。周りの机をなぎ倒し、笑った男に飛びかかる。スカートがまくれあがるのも気にしないで、勢いを殺さないまま頬に一撃を加える。瞼の裏をどくどくと、赤い血潮が駆けめぐる。地に仰向けに伏せた所を押さえつけ低い声で囁く。私のために殺したのだから。
「殺されても文句言わないでよね。」
振り上げた右腕を体重を乗せて振り下ろす。ばきっと小気味のいい音がして骨の壁をぶち破る。生憎、馬鹿力なのは「昔」からなんら変わらない。心の臓を止めうる一撃を。猫の敵に。渾身の一撃を。口から飛び散った赤い泡が私の頬に飛び散った。後に理解。ああ、殺したな。
 人は時に、転んだだけで死に至る。それと同じさ。加えるべきところに的確に無駄なく力を加えてやれば、人なんてあっさり死んでいく。自分の命が大事なら、他の命も大事にするべきだ。誰かを犠牲にするような、卑怯なまねをしなければきっと君も生きていられただろうにね。

 遊び慣れた海沿いの廃墟で、アスファルトの上にごろりと寝転がって、私は警察を待っていた。ただでさえ人を一人殺している。捕まるのは時間の問題だ。一瞬の出来事ではあったが、捕まるか自害するか。どちらかにしようと殺す間際に決めていた。

四、死を選ぶ幸せ

あんたが、私以外の誰かに奪われるならば、あんたを殺して私も死んで海へ飛び込んで。そう、誰にもね。あんたが、奪われないように。昔も、今も。これからも。

 「死んじゃあくれないか。」
かみさんと過ごす最後の夜。月がきれいな夜で、崖の上からの水面も月に照らされた彼女の涙も最高に美しかった。彼女は私の顔を真っ直ぐとらえてそんなことを言った。その声は、震えるどころか、低くどこまでも落ち着いていた。
 一緒に死んじゃくれないか。所謂、心中のお誘いのようだ。まるでプロポーズみたいだと思った。誘いは嬉しいが、私のために彼女が命を投げ出す理由はない。私は、彼女に生きていて欲しかった。ただ、幸せに生きていて欲しかった。彼女のことが好きだから。
「そんなこと言わないでくれ。必ず生きて帰ってくる。きっとだ。」
 幸せに成って欲しい。私が死んだ後、誰かいい人と一緒に成ってくれればいい。私のことなど忘れてくれて構わない。少し悲しい気もするが。君がそれで幸せになれると言うのならば、君の記憶の私を殺してくれて構わない。これは私のエゴだ。我が儘だ。希望だ。
「うそつけ。おいてくなんて許さないよ。」
 私が死ぬのはいい。だが、彼女を連れて死ぬなんてできるものか。彼女は、私の腕にすがって、大きな目から涙を流す。滴を指ですくってやれば、大きな目できぃっと睨まれた。
「バカ野郎。お前が死ぬ必要なんてない。私はお前に生きていて欲しい。幸せに成って欲しい。私のことを忘れてもいい。私が死んでも、幸せで居て欲しいんだ。その、私は。お前が・・・」

好きだから。

大きく目を見開いたままぼろぼろと涙を流す彼女。彼女の唇に優しく口づけ離す。
「バカはそっちだ。」
彼女は私の胸に顔を埋めて泣き叫ぶ。
「あんたが居なくなってどうやって私に幸せになれっていううのさ。バカ。本当にバカ。自己中。偽善者。あんた解ってる?すごく我が儘だよ。私の気持ちはまるで無視。あげくの果てには、あんたを忘れろなんて無理に決まってるでしょ。もう、バカ。あんたが私の死らないところで殺されるぐらいなら、あんたを殺して私も死ぬ。あんたが私の幸せを第一に考えてくれているのと同じぐらいには、私だってあんたが・・・」

大好きなんだから。

生きていることが幸せだとは限らない。それでも、それでも彼女に生きて欲しいという私の願いは、我が儘なものなのでしょうか。

 胸の辺りの鋭い痛みと共に、少し遅れてズブっと鈍い音がした。痛い。のどの奥から熱いものがせり上がり、こらえきれず吐き出すと赤い血潮が宙を舞う。床を汚し、薄く笑った君を彩る。胸から突き出た包丁を見て自嘲気味に笑った。ああ、こいつ。男前だったな。
 ひざをつく私は、頭からすっぽり抱きしめられていて、私の血による鉄臭さの中を、彼女の石鹸の匂いがふわりと香った。
「独りで逝かせない。あんたを独りに絶対しない。絶対に離さない。私がずっと側にいるから・・・」
色を失う視界の中で、彼女が囁くのを聞いた。目を閉じて、一度深く息をする。抱きしめられた身体が宙を舞い、最後に聞いたのは私たちをのみ込む海の子守歌と「愛してる」という彼女の言葉。何を言う。私だって。愛してる。
それでも私は、君を理解してやることができていなかった。

五、さざなみビル

 同じ事を繰り返していることを、きっと皆忘れているんだ。タンスの奥にしまい込んでいるのさ。

「世三郎。」
 懐かしい名を呼ばれた。世三郎だった頃の記憶が、私の中にかなり根深く残っている。漁師をしていたことも。戦争に行かなきゃならなかったことも。嫁を酷く愛していたことも。嫁も、私を愛してくれていたこと。愛する嫁に殺されたこと。
 だから、私の身体が女であることが解ったとき酷い違和感を感じた。菊子という名前にも酷い違和感を感じていた。肉体と名前がどんなに変わってしまおうと、私の魂はあくまで世三郎なのだ。
「世三郎。」
 コンクリートのあの床で、私はいつの間にか眠りについていたらしい。
 目を開けて、光を一杯に取り込む。息を吸おうとするのだけれど、うまく吸い込めない。げほっと咳をすればぼたぼたと赤いしぶきがこぼれる。一体全体どういうことだ。これじゃあまるで、あの夜みたいだ。私が死んだあの夜。
 よくみれば、目の前に男が立っていた。胸から突き出た包丁を引き抜かれ、痛みに顔をゆがめる。
 黒くなっていく視界。不意に暖かいものに包まれる。ふわりと香る懐かしい石鹸匂い。
「何も考えなくていいです。ずっと探していたんだ。見つけるのが遅くなってごめん。このままでは、あんたは捕まるか自殺する。今回もだめだった。次こそはもっと早くあんたを見つけるから。」
 どういうことだ。頭が付いていけない。血が流れすぎている。
「あんたを独りにしないから。ずっと側にいる。だから・・・。」
また、はじめからやり直そう。
まただ。また私は君を理解できそうにない。

六、はじめから

本当は、終わらないことが一番恐ろしいことかもしれないね。

「海稀。早く起きなさい学校に遅れるわ。」
下から母の声が聞こえて、私ではない誰かの名前で私のことを呼んでいる。この酷い違和感は今に始まったことではない。きっと、ずっと続いていく。今も昔も、これからも。

『レ・ペティール』

こんばんは。斉田です。
かなりカオスな話になりました。
ストーリーの筋としては、ヤンデレが私を殺すことを繰り返すという内容です。
一番最初は、菊子(与三郎)の話、次に与三郎のときの話、そして菊子に戻り、また与三郎、また菊子に戻っての海稀という場面展開。読んでいる時も迷子になるかと思いますが、もちろん書いている最中も迷子になりました。はい。
んで、戦争にいかなきゃならない話が出てくるのだが、時代はどの辺かというと、実を言うと未来の話なんですね。解りづらいけど。
構想としては、世界規模の核戦争から50年後ぐらい。人口激減。でもかろうじて人は生きている。核戦争後に、後悔したと思うんすよ。それでも、時間がたつと何があったか忘れちゃうんですよね。体験した人の層が減っていくわけだから、どうしても仕方がないんだけど。結局のところ百聞は一見にしかずってやつらしいのです。人は繰り返して生きているのだと思います。焼き肉この間食べたのにまた食べたいなと思ったりしますよね 笑
日常も惨劇も同じことでしょう。
これを書いてる最中に、変な夢をみまして。パン屋のトラックにバックで轢かれて肉体と分離する夢を見ました。なんとも、気持ちの悪い話で、撥ね飛ばされた私の遺体を見る私がいるわけです。
はじめに、これをかこうとおもったときは、ただ自分が自分じゃないと思っている人を書こうと思っていたんですが、繰り返す人というか使い回される魂といいますか。結局そんな話に、方向転換しました。
結局、自分の魂が前に誰かのものであり、次も誰かのものになるのなら。そいつは怖いことだなと。生きることに終わりがなくなるわけですから。
もし、繰り返しているのなら、繰り返させる理由とその黒幕はなんだろうか?なんて思ったりもするのですが、そいつの答えは死ぬまででない気がします。
私の妄想全開をそのまま積めたような話。ということです。少々無理がありますね。

『レ・ペティール』 斎田 治矢 作

自分が自分で無いような気がする。違和感の先にあるものはなんなのかという妄想の先にできたもの。

  • 小説
  • 短編
  • ファンタジー
  • ミステリー
  • ホラー
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2017-09-14
Copyrighted

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