*星空文庫

黄泉と幽体離脱

ドライアドの本棚 作

『目を覚ましたくないんです。きっと自殺でしたから』

花畑の夕方の中向こうから手を振る人をみたが、
なぜか別の宗教の象徴である、名前もしらない天使にひっぱられて現実に戻ってきてしまった、
といっても間である、
病室で横たわる自分を上からみている。

『幽体離脱、楽しいな』

全然楽しくはない、
この魂は、最近、好きな人に振られた、
まだ高校生のサクだ。

夜になると、規則正しく眠ってしまう、
すでにこの世のものでない魂がどんな夢をみるか、
多くの人はしらないと思う?

サクだってわからあない、
あのなぞなぞの夢について
花畑の向こうから、死んだ祖母が手をふって
その逆側で、あの人が手を振っている、

どっちが現実かわからない、
死から逃げ出せば、
顔を合わせ辛いあの人が、現実の、教室の中で、たった一人、なぜか手をふっている

あの人の心情であるはずもないと思う
その代わりに、自分の心情であるはずもない

だとすればあれは何なのか?

ただ、道は決まっているのだ、
その夢の中、祖母に合うと思いだす、

昨年峠を越えるか超えないか、病状が悪化していたとき、
祖母は自分に向かって手を振った、

(私の年まで、いきるのよ)
自分に聞こえる声で、そういった。

『黄泉と幽体離脱』

『黄泉と幽体離脱』 ドライアドの本棚 作

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日 2017-09-14
Copyrighted

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